少子高齢化や莫大な国の借金。
輸出シェアを落として、世界ランキングの圏外にはじき出される有名企業。
国際標準方式を採用しなかったために、海外で売れない携帯電話……
本当は、どんどん世界から取り残されているのではないか?
この書名の『ヤバい』は「とても悪い」と「とてもクール」という正反対の意味を持つ言葉。
「ダメな日本からかっこいい日本へ」の著者の願いが込められているようだ。
著者は世界中を飛び回る映像作家でDJ。
総務省の次世代放送コンテンツ振興や、デジタル技術による地域文化振興推進にも携わり、「沖縄ブーム」の仕掛け人でもある。
PCの未来系『トリプルX』。
インターネットの限界。
ITの解釈を誤り、世界から遅れをとる日本。
アメリカの映画産業の世界制覇。
「ブランド化」国策で成功した英国や韓国。
ゲーム業界の閉塞状況。
コンテンツの未来は「広告のおまけ」……読んでいて気が重い。
『今の著作権保護強化は著作流通権強化であり、既得権益を拡大するだけ』との著者の意見には賛成だ。
例えば、出版業では通例、出版契約すると著作権が3年間、出版社のものとなり、その間、作者は自分の作品を自由に使うことができない。
印税は5〜10%。
1000円の本が1冊売れて、印税が10%でも著者の儲けは100円。
源泉徴収が引かれて手取り90円。増刷があっても入金は半年後。
何冊刷ったうちの何冊売れたのかは明示されない。……もう少し「アイデアの価値」を評価してほしいものだ。
著者は『流通拡大のために著作権を一部コピー可として開放するべきだ』と主張するが、著作者の地位向上が先だろう。
今後、日本が巻き返しを図れるのはユビキタス技術と、「ハイブリッド(異なるものをバランスよく組み合わせる能力)」スタイルの輸出。
今こそ国の長期的な視点と助力が必要だ。
『ヤバいぜっ!デジタル日本』 高城剛 著 集英社新書
【関連する記事】
- 『つくる仕事の一日』
- 『ずるい!ChatGPT仕事術』
- 『外資系コンサルが×AIのプロが教える 生成AI時代の「超」仕事術大全』
- 『ChatGPT攻略』
- 『実家スッキリ化』
- 『仕事でSNSを使いたいけど初心者の「やらかし」が怖いので弁護士さんに気になるこ..
- 『「AIクソ上司」の脅威』
- 『スピードも質も上がる!一生役立つ仕事術100』
- 『暮らしのヒント集3』
- 『インフレ・ニッポン』
- 『省エネのプロが教える みんなの節電生活』
- 『「国の借金は問題ない」って本当ですか?』
- 『ウクライナ・ショック 覚醒したヨーロッパの行方』
- 『すぐやる人のビジネス手帳術』
- 『最新版 定年までに知らないとヤバイお金の話』
- 『キーワードでまるごとわかる投資の教科書』
- 『人生が変わる紙片付け!』
- 『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』
- 『日経テクノロジー展望2022 世界を変える100の技術』
- 『2022年度版「コンサルティング力」がアップするFP資格を活かす150の話題』..