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2006年09月09日

『ヤバいぜっ!デジタル日本』

今、私は漠然とした不安にかられている。現在、「好景気」らしいが、本当に日本は復活しているのか?

少子高齢化や莫大な国の借金。
輸出シェアを落として、世界ランキングの圏外にはじき出される有名企業。
国際標準方式を採用しなかったために、海外で売れない携帯電話……

本当は、どんどん世界から取り残されているのではないか?

この書名の『ヤバい』は「とても悪い」と「とてもクール」という正反対の意味を持つ言葉。
「ダメな日本からかっこいい日本へ」の著者の願いが込められているようだ。

著者は世界中を飛び回る映像作家でDJ。
総務省の次世代放送コンテンツ振興や、デジタル技術による地域文化振興推進にも携わり、「沖縄ブーム」の仕掛け人でもある。

PCの未来系『トリプルX』。
インターネットの限界。
ITの解釈を誤り、世界から遅れをとる日本。
アメリカの映画産業の世界制覇。
「ブランド化」国策で成功した英国や韓国。
ゲーム業界の閉塞状況。
コンテンツの未来は「広告のおまけ」……読んでいて気が重い。

『今の著作権保護強化は著作流通権強化であり、既得権益を拡大するだけ』との著者の意見には賛成だ。

例えば、出版業では通例、出版契約すると著作権が3年間、出版社のものとなり、その間、作者は自分の作品を自由に使うことができない。

印税は5〜10%。
1000円の本が1冊売れて、印税が10%でも著者の儲けは100円。
源泉徴収が引かれて手取り90円。増刷があっても入金は半年後。
何冊刷ったうちの何冊売れたのかは明示されない。……もう少し「アイデアの価値」を評価してほしいものだ。

著者は『流通拡大のために著作権を一部コピー可として開放するべきだ』と主張するが、著作者の地位向上が先だろう。

今後、日本が巻き返しを図れるのはユビキタス技術と、「ハイブリッド(異なるものをバランスよく組み合わせる能力)」スタイルの輸出。

今こそ国の長期的な視点と助力が必要だ。

『ヤバいぜっ!デジタル日本』 高城剛 著 集英社新書

posted by ゆか at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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