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2011年11月19日

「気」の不可思議(後編) 空(くう)

合気道には不可欠な「気」を感じ取ること。
しかし、これは意外と難しい。



「気」には、いろんな種類、いろんな周波数があるようですが。
できるだけ多くの「気」を感じ取れるようになるには、どうすればいいんでしょう。

せっかくの合気道フォロワー(合気道家のTwitterの友人)のリクエストですから、ここは一つ、武道13段の夫に訊いてみましょう。

夫は空手四段剣道三段少林寺拳法三段大東流合気柔術二段柔道初段。
気功も扱う不思議な人です。

私は、リビングでソファに座ってビールを飲んでいる夫に、声をかけました。

「……申し訳ない」
「あ、お前、なんかややこしい相談しようとしてるやろ」

図星ですが、これは夫に相談しないと解決しそうにない問題です。

「……実は「気」についてなんだけど」
「「気」?」

私は夫の隣に座り、「自分は「気」が読み取れないので、合気道に向いていないのではないか」と悩む合気道フォロワー(合気道家のTwitterの友人)の話をしてみました。

「私も、「「気」が出てない」って注意されることあるけど。ここだけの話、四六時中「気」を出してるって、エネルギーロスじゃないんか、って思う時がある。……私の理想は、普段はできるだけ「気」を出さないでおいて、相手が攻撃しようとする「気」を起こす直前、心が「ゆらぐ」瞬間に一気に仕掛ける……というのが理想なんだけどなあ」

「あほ。何悩むことあるねん。それは実戦の基本やろ。相手に自分の「気」読ませずに、相手の「気」読んで仕掛ける。「先の先」は剣の世界の常識やろが」
「あ、やっぱりそうか。……ちょっと安心した」
「そやけど、「気」の使い方は色々あるからな」

夫は持っていた缶ビールを、テーブルの上に置きました。

「大東流(合気道の源流にあたる古武道)や合気道は、相手の「気」読んで、相手に自分の「気」合わせ、自分が主導権握って技かける武道やからな。剣とは「気」の使い方が違う。合気道の稽古の時は、「気」出さんとあかんで」

夫は私にナッツの入った小鉢を差し出しました。

「お前もナッツ食うか?」
「ありがとう」

私は小鉢を受け取って、中に入っていたアーモンドを一粒つまみました。

「私も、読み取るのが得意な「気」と苦手な「気」があるんやわ。「殺気」や「瘴気」は、遠く離れていても、特に集中しなくても簡単に読み取れるのに。合気道の「気」を読むのは苦手で」

私は子供の頃からアレルギーで、ずっとハウスダストやダニ、カビの胞子などの「見えない敵」と戦ってきました。
「危険物」を察知する能力は高いんですが。
合気道の「気」のような「危険物以外」に対する感度は鈍いのです。

「これは私の感覚やけど。合気道でいう「気」は、人の生気や心の動きの方向、体の動きが入り混じったもの……オレンジがかった黄色の、ふわっとした気体のような感じがする。一番感じやすいのは掌やけど。こめかみや眉間で読み取れる「殺気」や「瘴気」に比べると「遠い」。合気道の「気」は、集中しないと感じ取れないし、相手の「気」に合わせられない。……こんなことじゃ、あかんねんけどな」

「「気」の感度は、どうしても個人差あるからな。「「気」とはこんなものです」と、一口に言えるものやないし、簡単に教えられるもんやない。そやけど感度高める方法はある」
「ほんと!」

私は思わず大声をあげてしまいました。

「まずは精神を統一やな。雑念を取り払って意識を一つのことに集中する。一番自分が波長の合わせやすいタイプの「気」を感じ取る。それから、とらえられる「気」の範囲を、だんだん広げていく。それには、一旦自分を「空(くう)」にせんとあかん」

「集中はできるけど。「空」となると難しいわ」
「いっぺん、本格的に座禅やってみたらええねん。俺も昔やったけど。座禅やると、「空」の感覚がつかみやすいで」

以前、短時間の座禅体験をしたことがあります。
あれはとても興味深い体験でした。

精神統一と「空」、武道に必要なものを追求すると、結局「禅」に突き当たってしまうわけですね。

「あとは「思い込み」に気をつけることやな。世の中にはいろんなものがある。「思い込み」は、そういうものを感じ取るのに邪魔になるんや。もちろん、いろんな「気」を感じることもできん。集中せんといかんけど、「思い込み」まで凝り固まったらあかん。特に「気」を合わせるんは、「思い込み」があったら、絶対にでけへん」
「……難しいね」

いつの間にか、小鉢の中のナッツはなくなっていました。
夫は、ビニール袋からナッツを一掴み取り出し、小鉢に入れてくれました。

「相談してきた人にも言うといてやれ。「「気」を感じたり合わせたりするのは、そう簡単にできるもんやない。時間がかかるもんやから、あんまり思いつめんと、じっくり稽古していったらええ」とな」
「ありがとう」

今回は「合気道の「気」を感じ取るにはどうすればいいか」について、リクエストいただきましたが。

……ちゃんと答えられたかな。

「気」をとらえ、「気」に合わせ、「気」を制する。……合気道上達への道は遠い。

お互いに、気長に稽古を続けていきましょう。
ラベル:合気道
posted by ゆか at 10:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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