この本は、日本経済新聞の土曜日の夕刊の連載ルポ「住んでみるシリーズ」をまとめたもの。
「高齢化」「過疎化」「国際化」「孤立」といった課題に直面する地域に、50代、60代の編集委員が実際に1ヶ月あまり住んでみて、そこで出会った人々の物語や、地域が抱える問題点をレポートしている。
被災した住民が、それぞれに復興に動き出した『津波にのまれた村、陸前高田市両替集落』
行政ぐるみで若者を呼び込む『よみがえる離島、島根県隠岐・海士町』
住民が一体になってスキー場を守り、オリンピック選手を輩出する『北信濃の豪雪地帯、野沢温泉村』
商店街活性化策として、全国的に注目されている「100円商店街」発祥の地『シャッター通り、山形県新庄市商店街』
……それぞれの地域で、それぞれの歴史や風土をふまえた「絆」の再生、地域活性化が模索されていて、読んでいても元気が出る。
それぞれのレポートの中で必ず登場するのが自治体の担当者やNPOの活躍だ。
地域の人同士をつないだり町おこしを助けたり。
しかし、NPO(特定非営利活動法人)は、あくまで「非営利」なので、業務を拡張して地域の基幹産業になるのは難しいし、どの自治体も財政が苦しく、支援に限界がある。
行政とNPO頼みでは、「絆」を維持できても深めるのは難しい。
広辞苑第三版によると『絆』とは……
『馬・犬・鷹など、動物をつなぎとめる綱』
『断つに忍びない恩愛。離れがたい情実。ほだし。係累。緊縛』
がっちりと縛られ、お互いのよい部分も悪い部分も分かち合うのが本来の『絆』の意味らしい。
これから求められる「絆」の形は、これほど束縛の強いものではなさそうだが。
まだ自治体に支援できる余力のあるうちに、行政頼みでない新しい形の「絆」の再構築を急がなければならない。
『絆の風土記』 日本経済新聞社編 日本経済新聞出版社
ラベル:絆
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