いつものように道場に行くと、見知らぬ若者が来ていました。
ビジターで稽古に参加する高槻市の他道場の有段者だそうで、年配の有段者と世間話をしていたところをみると、彼の知り合いらしい。
稽古がはじまって……
まず、若者は先生と投げ技の稽古。
先生は最初、若者の技量を試すように、ゆっくりと技をかけていましたが、しだいに技が早く動きも大きくなっていきます。
でも、若者も男性とは思えぬしなやかな動きで、先生の豪快な投げ技についていく。
私は年配の有段者に尋ねました。
「あの若い方、何段ですか? 三段? いや、あの柔らかさは四段かもしれない」
「彼は四段。若いけど合気道のキャリアは15年だからね。今日はいい勉強になるよ」
年配の有段者は笑って答えました。
その若者と関節技の稽古をしている最中のことです。
「すみません。技、失敗してますか?」
「えっ? そんなことはありませんよ。ちゃんと極まっています」
「すみません。何の反応もなく、畳も叩かれないので、失敗してるのかと思いました」
「畳を叩く? 僕の道場ではやりませんが」
「所属していた道場では、技が効いた時の意思表示として、膝または畳を叩くように教えられていました。受け(技をかけられる側)が意思表示しないと、取り(技をかける側)は、加減が効かずにケガをするので」
「なるほど。初心者相手だと、そういうこともありますね」
そうか。四段……指導員クラスになると、相手が意思表示をしなくても、技が効いているかわかるし、相手に合わせて手加減もできるのか。
初段の私にはまだまだなあ……
その後、私に合わせて畳を叩いてくださったので、稽古しやすかったのですが。
この方は小柄なのに、柔らかくて重い。
粘土のような質感の合気道をされる方です。
以前、柔らかくて弾む、ゴムまりような動きをする女性高段者と稽古したことがありますが。
同じ「柔らかい合気道」でも、こうも違うものなんだなあ。
私のめざす「柔らかい合気道」は、もう少し軽い質感かなあ……。
そんなことを考えながら、とても勉強になる稽古ができました。
それにしても、「手加減」は難しいものです。
この前、Twitterで、有段者の女性合気道フォロワー(合気道家のTwitterの友人)と「稽古での手加減」について、ひとしきり話が盛り上がりました。
彼女は学生時代、男性と同じように柔道をしていたため、力加減がうまくいかず、女性なのに「○○さんは女子との稽古禁止」と言われたそうで。
私もケンカ出身で、合気会本部道場の八段の先生から「乱暴者」の称号をいただいた人間なので、彼女の気持ちもわからなくないんです。
「手加減」は本当に難しい。
開祖ご自身が「女の子は大事にしなければ」とおっしゃったせいか、稽古中の女性は、淑女のように扱われることが多いのです。
女性たちが更衣室で着替えている時に、「△△さんの技は本当に荒っぽくて、手加減なしで関節技かけるから、ものすごく痛い。女の敵ですよね」と、話題になる男性有段者が何人かいました。
名前のあがった有段者と稽古してみると、確かに他の男性よりは技のかけ方が荒っぽい。
それでも本人は手加減してるつもりらしい。
難しいなあ。
本人は「手加減してるつもり」なのに、相手は「手加減されてない」と感じてる。
このあたりは、なんとかならんものでしょうかね。
その一方で「手加減するのは、相手に対して失礼である」という考え方もあって、ますますややこしい。
時々「手加減しなくていいですよ。遠慮なくかかってきなさい」という男性有段者もおられますが、その言葉を額面通りに受けとって技をかけようものなら、とんでもないことになります。
「回転投げの当身代わりに「掌底」使うなんて反則だよ」と叱られたりする。
回転投げとは、片手を取られた状態で、相手の顔面に拳で当身を入れて体勢を崩し、相手の後ろに回り込んで投げる技ですが。
相手に接近しながら当身を入れるのは、手の長い私にとって苦手な動作で、無意識に接近戦で打ちやすい「掌底」を使ってしまったようです。
もちろん合気道には「掌底」はありませんから、稽古で使ってはいけません。
さらに「双方がまったく手加減しない状態」だと……。
元々武道は武術、相手を殺傷する技術から発展したものですから、恐ろしいことが起こります。
柔術から発展した合気道の技にも、下手をすれば骨折する危険なものも含まれていますが、合気道以上に手加減が難しく、しかもケガどころか死に至る危険もある武道が、今、日本中で問題を引き起こそうとしています。
……次回に続く……
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