来年のシステム手帳リフィルを選ばないと……
毎年なら、浮かれた気分でシステム手帳売り場を見て回っているのですが、今年は違いました。
……果たして、私にシステム手帳を使う資格があるのか……
そんな暗い思いが、胸をくすぶり続けていたからです。
今年の3月に、『システム手帳新入門!』の著者の舘神龍彦さんに、コラムのコメントをいただいたのがきっかけで、舘神さんのブログ『館神Blog』で、システム手帳の使い方の勉強をしていました。
でも、そのうちに、だんだんわからなくなってきました。
どうやら、システム手帳は
「自分の夢を書き込み、それを逆算してタイムスケジュールを立案。TODOリストで夢に到達するための行動を決めて、年、月、1日単位のスケジュールを立て、それに従って夢実現にひた走るツール」
らしい。
私のように、自分の病気や義母の介護など、不確定要素を多く抱えた人間には、そんな帰納法的「正統派」のシステム手帳の使い方は、できない……
もやもやした気分で、リフィル探しを続けました。
近くの東急ハンズには、いかにもビジネスライクな男性向けのリフィルだけ。
しかたがないので繁華街のLoftへ。
手帳売り場には、たくさんの人が集まっていました。
若い女性が群がる、色とりどりの手帳が積み上げられた綴じ手帳売り場。
一方、システム手帳売り場には、フランクリン・プランナー手帳のプロモーションビデオが大音量で流され、若いビジネスマンが数人、リフィルを眺めている……
ハンズとまったく同じ光景。
以前、『「働く女性の手帳」は謎だらけ』で、「多くの女性が1年単位の綴じ手帳を愛用する」と書きました。
これは私の推測ですが、女性は、自分の恋人や家族の状態によって、人生を左右されることが多く、数年単位の計画で、自分の夢を達成するためのツール、システム手帳を、無意識に避けているのではないでしょうか。
もちろん、イーウーマンの佐々木かをり社長のように、「家庭を持ちつつ手帳で時間管理して仕事でも成功し夢を実現する」という女性もいます。
女性が夢と家庭を両立するには、あらかじめ自分の仕事に理解のある男性を夫に選び、計画通りに出産。
生まれた子供は保育園に預けられる程度に健康で、保育園の費用も確保済み……
これだけの条件が揃わないと難しい。
出産したものの、子供の預け先が問題になり、多くの優秀な女性が泣く泣く職場を去るのも、今の現実の一つ。
一方、計画通りに夢を実現していく女性の前にも、いずれ立ちはだかるのが「親の介護」。
症状、倒れるタイミングは、本当に運の問題で、自分の努力ではどうにもなりません。
「お子さんもなく、ご夫婦お二人で、お気楽な毎日でしょう?」
私にこんな質問をする人が、時々います。
「そうでもないですよ。結婚3年目に、夫の母が倒れて、それ以降は、入退院を繰り返してバタバタしてます。でも、2004年の夏に、ようやく介護保険の認定が降りて、介護施設がこまめに面倒をみてくれるので、だいぶ楽になりました」
そう答えると、質問した人は、みんな青ざめます。
……でも、これが私の抱える現実。
市の介護保険課の担当者の話でも、これほどの若年(27歳)で介護問題に遭遇して、それから十数年間一進一退を繰り返すケースというのは、これまでなかったそうで。
「ご主人が、仕事に逃げる人じゃなくて、本当によかったですね」
そう慰めてくれました。
今後の全面的なバックアップも、約束してくれています。
仕送りをしている現状では、安定収入は絶対条件。
今、夢を追って転職することはできない。
その職場は来年激変します。
経営側は雇用確保を約束しているものの、2007年中に組織が大きく変わるので、仕事は今よりハードになるでしょう。
「あなたは今のままでいいのですか? 夢を実現させましょう!」
フランクリン・プランナーのビデオの声が胸をえぐります。
いたたまれなくなった私は、システム手帳売り場を後にしました。
エスカレーターで、上のフロアの無印良品の店へ。
とりあえず、買い物をすませて冷静になってから、改めて手帳リフィルを選ぶことにしたのです。
癒し系の音楽がゆったりと流れる無印良品の店内。
観葉植物を眺めたり、椅子の座り心地を試したり、磁器ベージュの小鉢をレジカゴに入れたりしているうちに、ささくれていた心が、だんだん穏やかになっていきました。
そして、試し書き用メモに、ボールペンでいたずら書きしていた時、突然ひらめきました。
……システム手帳を「夢実現のスケジュール管理ツール」と定義するからしんどい。
あれが「カレンダー付き革装バインダー」だったら、もっと自由な使い道があるはず……
無印良品で買い物をすませた私は、再び手帳売り場へ。
「凡庸ではいけません!」と呼びかけるフランクリン・プランナーのビデオに向かって、「凡庸で何が悪い」と呟き、手帳リフィルを手に取りました。
Loftはハンズよりも、手帳リフィルの品揃えが豊富。
特にミドリが出している、女性向けリフィルが多いのがありがたい。
私は悩んだ末に、いつもと同じ組み合わせのリフィルで、例年より少し華やかなものを選びました。
来年は、辛いことの多い年になりそうなので。
本来、リフィルが差し替えられるシステム手帳は、綴じ手帳よりも、機動的に現実に対応できるはず。
今は4月始まりや9月始まりなど、季節の節目ごとにリフィルが売り出されているので、その時々で、ベストな組み合わせのリフィルを使うことができます。
これから日本人の高齢化が進み、在宅介護推進の国策が強まるにつれて、私と同じ悩みを抱える人は増えます。
おそらく10年以内に、多くの若者や大人が「夢か家族か」の選択に悩むことになるでしょう。
今後、システム手帳は、めまぐるしく変わる現実に対抗する、有力なツールになる可能性を秘めていると、私は思います。
ラベル:システム手帳
>「カレンダー付き革装バインダー」
ですよ。スケジュール帳って(あっさり)。
そこにメモが書けたり、書きやすかったりというフォーマットの違いがあるだけ…私はそう思っています。
どう使うか、何のために使うか、どのように使うかは、あらかじめこちらで決めてあげるから、あなたはこれを買って言われたとおりに書いて考えていけば、成功するんです…という、商売のやり方なんて、気にするこたぁないですよ。いくら煩く売り場で流れていても。あれはそういって斜め上からモノを言って、刺激を与えるセールスの一手法に過ぎません。
使い方や目的なんて、他人に決められるものではなくて、自分が考えること。夢がかなうのはその人のやる気と、真面目さと、めぐりあわせでしょう。決して手帳の所為ではない。そう思います。
いつか自分のBlogに「成功や夢の成就とは無縁の手帳の使い方」なんてーのを書こうと思ってます。(^-^)…あ、すでに結構そうかも…(^^;)
ゆかさんの介護などの現状を知り、若くして大変な思いをされたんだなとお察しいたします。
わたしは子どもありパート主婦ですが、システム手帳を使っています。
夢を叶える云々の書籍を買ったりもしてみましたが、現状は備忘録メインです。
家計を預かる方だったら、スーパーの特売品底値メモや、洗剤や調味料ストックリスト、介護なさっているお義母さま関連メモ(通院、入院手続き、費用など)、またはコラムを書かれるようですので、そのネタを思いついたときに書き留めたり、膨らませたりするツールとして使えると思います。
大きな夢に向かうものでなくても、ゆかさんの生活をサポートするための便利なツールだと考えられてはどうでしょうか。
書き込むことで何か生活に関するいいアイデアが生まれてくるかもしれません。
システム手帳を使う資格だなんておっしゃらないで、あなたのためにどうぞ使いやすい方法で使ってみてくださいね。
まだ介護なんて先のことかもと思っている50代の両親でも、そんなに遠くのことではないかもしれないと考えさせられました。ありがとうございました。
えっと、システム手帳というのは、今はたまたま夢云々という売られ方をされていますが、本来は使い手が使いたいように使えるものだと私は思っています。
もちろん、ビジネスツールとしての側面があり男性ユーザーが多く、凝り性な人もユーザーに多いので、目的に向かってひた走るようなものに思われがちですが、使いたいように使えるというのもまた事実だと思います。
好きなように自分のスタンスで使う。これが○○式(○○は文化人・経営者の名前)とは違うシステム手帳の自由さなのだと思います。