「最近妙な癖がついてますね」
先生は困った表情で言いました。
「その受身は非常にまずいですよ。基本からやり直し」
……あちゃあ。とうとう言われたか。
「有段者になると、普通は、受身がどうのこうの言わないですけどね。今の島村さんの受身は、合気道の受身じゃない。きれいじゃない受身なんですよ」
実は、半年前から受身が変わってきているのです。
ほとんど畳を叩かず、体を小さく丸めて転がり、その反動で立ち上がる。
しかも、立ち上がった時には、すでに相手の方を向いている……柔術の前回り受身に近い形。
合気道の前回り受身は手、肘、肩、背中の順で、まっすぐに地面につき、畳を強く叩いて回転し、受身の終わりには相手に背中を向けている……
ああ、この受身は、やっぱり合気道的には反則になるのかなあ。
合気道の受身の入門編は畳を転がる一人稽古。
でも、実際の稽古では二人一組で取り(投げる側)と受け(投げられる側)が交代で技をかけ合います。
投げられてとる受身は、自分のイメージ通り高さから転がることのできる一人稽古とは違って、「きれいな受身」になりにくい。
受けが「きれいな受身」をとれるかは、取りの投げ方も関係してくるので微妙な問題。
「確かに、低い位置から投げられ続けて、受身に妙な癖がついてしまうことはありますが。最近の受身は、島村さんが、かなり意識的に転がってると思います。おそらく、体力の消耗を防いでいるんでしょうが。……今のうちなら、癖が固まらずに修正できます。基礎から特訓しなおしましょう」
先生は厳しい表情で言いました。
うーむ。難儀なことになった。
ここは武道13段の夫に相談してみましょう。
「……なんでやねん。体丸めて、すばやくコンパクトな受身して何が悪いねん。しかも、体力の消耗が少ないんやったら、言うことなしやんか」
「でも、受身としては、きれいじゃないから」
「受身に「きれい」とか「汚い」なんてあらへん。「危ない受身」と「危なくない受身」があるだけや。実戦で、合気道の演武みたいな、ゆっくりした受身してたら、それこそやられるで」
……うーん。確かに「実戦を想定」で考えれば夫の意見が正しい。
夫は大東流合気柔術二段。
大東流は合気道の源流の古武道ですが、合気道より「実戦」を意識した武道。
私が合気道をはじめて10年になりますが……
その間に、ひったくりが4回、頭のおかしな男にからまれたのが1回。
いずれもすべて未然に防いではいますが。
危ない場所に行かないように気をつけていても、このありさまなので情けない。
この状態で「実戦を想定しない」方が、非現実的で危険極まりないことだと思います。
「きちんと合気道の稽古もやらんといかんけど。お前の元々持ってる我流の動き、それもいつでも動かせるようにしとけ。お前もわかってるやろけど。実戦で勝つのは手数の多い方や。特に蹴りや平拳は、お前の体の特性と合ってて、実地で使って有効やったから、身についた動きとして残ってるわけや。合気道か我流か選ぶみたいなアホなことすな」
この5回の実戦は、すべて合気道ではなく我流で対処してしまったのです。
とっさの時に出てくるのは身になじんだ動き。
いまだに合気道の動きは付け焼刃なんだなあ。
……ああ、何も知らない状態で合気道をはじめて、生涯実戦で使うことがない人生を送りたかった。……
「合気道で、ゆっくりした大きい受身をやらなあかんのやったら、それもやれたらええやんか。たぶん、どこか動きの切り替えのポイントがあるはずや。探してみ」
夫からも宿題を出されてしまいました。
難儀やなあ。
……次回へ続く……
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2012年07月10日
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本当に受身って難しいですよね。
稽古でよく先生の受けを取らしていただいてるんですが、「堅い、重い、もっと敏感にならないと、当身入ってるよ」と言われながら(笑)
稽古に励んでいます。
綺麗な受身、汚い受身、危ない受身、危なくない受身、
う〜〜んむずかしい・・・・
畳の上での受身のようにバンバン叩く受身を、
アスファルトの上でやると怪我をしますし、
畳の上でコンパクトに受身を取ると、あまり迫力がないし。
実戦と演武の違いですかね・・・
僕は、神戸祥平塾という所で合気道をしています。「神戸祥平塾」で検索して頂くとホームページと動画がありますので、またよければ見て下さい。
実は私も似たような事で悩んでいます。
今度、昇段審査の受けをとるので、受け身を基本どおりにしようかどうかで迷っています。
自分のやりやすい受け身が、昇段審査ではどうとらえられるのか心配です。
ちなみに私は審査は受けません。