先日、伊丹の文具店で妙なものを買いました。
この店「アンジェ」は、北欧の輸入雑貨や日本の伝統工芸品。
柳宗理の台所用品などのグッドデザイン賞受賞の生活雑貨。
ちょっとレトロな文具やオリジナルデザインのカードなど、ちょっとおしゃれで面白いものを置いている「文具店」というより「雑貨店」に近い雰囲気の店。
買ったのは『文房具手帖』……
実はこれ、手帖じゃないんです。
この店が取り扱っている文具商品の文庫サイズのカタログ。
岩波文庫を連想させる、そっけないベージュの表紙。
黒く細いラインで描かれた四角の内枠とタイトルの『文房具手帖』、「ANGERS」のロゴだけのシンプルなデザイン。
「バンクペーパー」「スピカレイドボンド」「ウォーターマーク」という3種類の万年筆向けの紙見本が付録について500円。
ISBNコードがついていないということは、書店流通していない本らしい。
奥付は、羽賀義晃、岩穴口あき著、アンジェ発行。
2011年3月24日初版、2012年5月28日第2版。
隠れたベストセラーなのか。
これを制作した『アンジェデザイン室』によると、第2弾の北欧雑貨編も発売されているらしい。
この『文房具手帖』、中身は『Stationery Magazine』を彷彿させる美しい文具の写真と、文具にまつわるコラム。
コラムはいわゆる「ショップブログ」と呼ばれるタイプの文章。
表現力は……よく言えば「普通」、悪く言えば「凡庸」。
凡庸な文章がいかんというわけじゃないんです。
私も仕事上経験がありますが、写真のスペースが多い文章の場合、あくまで文は写真の付属物に過ぎません。
斬新な表現や予想外な視点や、血沸き肉踊る愉快なストーリーなんぞ書いちゃいけません。
ありふれた表現の文章が最適なんです。
特に最近の文具雑誌は商品カタログ化が激しくて……
「とにかく新しい文具を買えば、仕事がはかどるにちがいない」と信じる消費者と、「とにかく新商品をどんどん売って儲けたい」メーカーの利害が一致しているからでしょうけど。
その意味では、写真が多い文具雑誌の文章は、文具を売りたい文具店の店員さんが書くのが一番いいのかもしれません。
ちなみに、調べてみて驚いたのは、この「アンジェ」の母体は本屋さん。
京都滋賀を中心に展開する書店「ふたば書房」。
雑誌・書籍・美術書・教科書・CD・DVD・インテリア雑貨などを販売する書店のチェーン。
平成5年、雑貨部門として、アンジェ河原町本店を設立。
ハイセンスな土地柄の京都を基点に、どんどん店を増やしているわけです。
しかし、本屋が母体のくせに、あえて書店流通させない本を作って店で売る。
考えましたね。
実は本の価格の大半は流通経費。
出版社から取次、取次から書店へ。書店で売れ残った本は、逆のルートをたどって出版社に戻ってきます。
だから最近では、あらかじめ作った本が半分以上返品されることを想定して、発行部数を決めるのが普通らしい。
その点、書店流通させなければ必要な数だけ本を作れる。
書店で売られているものと変わらない内容のものが安く作れるわけです。
この本の価格「500円」は、さほど流通コストがかからないことを考えると、かなり利益率が高い数字じゃないでしょうか。
もし、こういう「私家版カタログ本」を伊東屋が作ったら、私は絶対買いますね。
「アンジェ」が京都河原町、大阪梅田、新宿、上野、伊丹。
姉妹店の「クロッシェ」が守口市大日と名古屋。
「ノイシュタット」が大阪箕面にあるので、店に行けば『文房具手帖』を手に入れることができるかもしれません。
万年筆の話ばかりのコラムと、万年筆のための3種類の紙もついている。
万年筆愛好家にはおすすめの本(?)です。
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2012年08月21日
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