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2007年01月06日

『千年、働いてきました〜老舗企業大国ニッポン』

「老舗なんか京都にようけあるわ」と思っていたのだが……
世界最古の老舗は大阪の寺社建築業の金剛組。
西暦578年創業。
2006年の倒産の危機を乗り越え、今も営業中だ。

この本の著者は、アジアの他の国には『老舗』がとても少ないことに気づき、『老舗製造業』に焦点をあてた。
出てくる企業は名の知られた会社ばかり。ヒゲタ醤油、田中貴金属、大日本除虫菊、西川産業、呉竹、林原……林原? 

奇妙な宇宙人CMで有名な「謎の物質トレハロースを製造する秘密結社ハヤシバラ」が、なぜこの本に?

実は、林原は1883年創業の岡山の水飴屋。
水飴の新製法。
ブドウ糖の量産化。
抗がん剤のインターフェロン。
乳果オリゴ糖の開発。
ブドウ糖の2倍のカロリーがある点滴液の製造……
家業の発酵技術の延長で、世界的な特許を数え切れないほど持っている。

特に、トレハロース……蛋白質や脂肪の変性や酸化を抑制するため、食品や医療の分野で幅広い需要があるが、非常に抽出が難しい『夢の糖』。

1994年、林原が世界で初めてジャガイモやトウモロコシの澱粉からのトレハロース抽出に成功。特許を取得。
これで、世界でただ一社、林原だけがトレハロースを安価で大量生産できるようになった。

そして、岡山駅前に自然科学博物館、百貨店、ホテルなどを擁する「ザ・ハヤシバラ・シティ」を建設中……
恐れ入りました。「秘密結社ハヤシバラ」だとか、もう言いません。

『林原』グループを率いる林原健社長は、同族経営・非上場企業の強みを「社長が替わらず、株主の顔色をうかがわずにすむこと」と言う。
長期的な視野で研究開発ができ、独創的で優れたものを作り出すことができる……
私は、多くの株主の顔色をうかがい、凋落していったSONYを連想した。

確かに、株式上場で多額の資金を集め、発展するのも企業のあり方として正しい。
しかし、『林原』方式の企業も、今後の日本には必要だと思う。

『千年、働いてきました〜老舗企業大国ニッポン』 野村 進 著 角川書店
タグ:老舗
posted by ゆか at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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