『公文書に最適!なめらかボールペン!スラリ!!』……。
今度は「公文書ペン」ときたか。
ぺんてるの「エナージェル・ユーロ」が、「就活ペン」として有名になったのに追随する気かな。
電車の時間が迫ってきたので、現物を確認する余裕もなく駅へ向かいましたが……
「公文書ボールペン・スラリ」の名前は、はっきり頭に焼きつけました。
「公文書とボールペン」といえば、「消せるボールペン」で有名なパイロット「フリクション・ボール」が問題になってますね。
パイロットの「履歴書や公文書に使わないでください」という必死の呼びかけもむなしく、このボールペンで履歴書を書く学生が後をたたないらしい。
確かに「100社受けて1社も内定とれず」という就職難の時代。大量の履歴書代も馬鹿にならないので、書き間違いの履歴書を捨てるぐらいなら、消せるボールペンを使いたい気持ちもわかるんですが……
面接官は履歴書を見ただけで、「消せるボールペン使ってるな。こいつは書類選考落ち」と判断できるらしい。
パイロットの回し者じゃないけど、学生の皆さん、くれぐれも履歴書には「フリクション」を使わないでくださいね。
さて、話は「スラリ」に戻って……。
『ゼブラ株式会社』サイトによると、「スラリ」は、油性インクのしっかりした手ごたえと、ジェルインクのさらさらした軽さを兼ね備えたエマルジョンインクを世界で初めてボールペンに搭載したもの。
三菱鉛筆「ジェットストリーム」や、ぺんてる「ビクーニャ」のような低粘度油性ボールペンよりも、さらになめらかな書き味らしい。
『公式文書にもお使いいただけます』と自信満々にうたっています。
インクの色は、定番の黒赤青のほかに、蛍光バイオレット、蛍光ブルー、蛍光グリーン、蛍光イエロー、蛍光オレンジ、蛍光ピンクなどの油性ボールペンにはない色があって、なんだか楽しそう。
ペン軸の色もたくさんあって、限定色のピーチブラック、コーラルピンク、ライトパープル、アーススカイブルー、カシスネイビーなど、ラバーグリップ部分とペン軸の色が違う、ツートーンカラーのデザインは女性が大喜びしそうだ。
まてよ。この軸のデザイン、どこかで見たことがあるなあ……。
そうか。わかった。
電話のメモに使ってるボールペンだ。
以前、税金の本を通販で買った時……本の売り主が著者で、自分の経営する会社の企業名入りボールペンを送ってきたのです。
乳白色の軸にグレーのラバーグリップ。
ペン軸に『フリーの確定申告は記帳ドットコム』と黒字で書かれた謎のボールペン。
「ジェットストリーム」より軽く、「ビクーニャ」より柔らかい書き味が気に入って、電話の横に置いてメモをとるときに使っていたのです。
ゼブラの商品カタログには存在しない軸の色で、企業名まで入っているから、それが「スラリ」だとは、ずっと気づかなかった。
……うーむ。「スラリ」って、mixi『文房具』コミュニティで「最強」と噂されている「ジェットストリーム」や「ビクーニャ」に匹敵する「最強ボールペン」かもしれない。
あまり知られていないことですが、大抵の筆記具メーカーは販促やノベルティ用のオリジナルボールペンの注文を受け付けているのです。
時々「景品にもらったボールペンが妙に書き心地がよくて、そればっかり使ってる。ちゃんと買わなきゃいけないのに」と、ばつが悪そうに言う方に出会いますが、その選択は意外に正しいかもしれない。
企業名は入っていても一流メーカーのボールペンですから。
ちなみに、現在官公庁が「書類チェック用ペン」として正式に認めているのは「ピグマ」。
これは水性ペンですが、このままゼブラが「公文書に最適!」と連呼し続けていたら、そのうち官公庁が「公文書用ボールペンは「スラリ」」と認めるかもしれない。
面白いことになってきましたね。
ラベル:ボールペン