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2013年01月12日

武道と指導(前編) 誤解

最近、ネット上の武道家・武術家の間で、しきりに話題になるのが「武道・武術指導者の資質」。
 
 
その論議の大本になっているのが、『「いじめ防止に武道家の先生を」谷川文科副大臣が持論』の記事です。
2012年12月28日付『朝日新聞デジタル』のによると……。

『いじめ防止には、怖い武道家の先生が必要――。27日に文部科学副大臣に就いた谷川弥一衆院議員が、最初の記者会見でそんな持論を展開した』

……あのう、ご高説を拝聴している最中に誠に申し訳ないのですが、武道家の先生は「怖い人」とは限らないんです。
どの武道にも物静かで深い教養をお持ちの指導者がおられます。

『谷川氏は「いじめたら怒られる。それを理解してもらうには怖い先生が学校にいないとダメ」と述べ、「武道家。一番いいのはボクシングだと思うが、空手、剣道、柔道、プロレスも入るかな」と格闘技を列挙。「いないなら警察OBを雇う」と続けた』

うーん。いろいろとツッコミどころの多い発言ですね。

とりあえず、ボクシングとプロレスは「格闘技」で「武道」じゃないんですが。
ついでにいうと、朝日新聞の記者も、空手、剣道、柔道などの「武道」を「格闘技」にひとくくりにしないでいただきたい。
それに武道家を格闘家と警察OBを同列に並べられてもなあ……。

いろいろと誤解を生む、困った記事ですね。

この記事をきっかけに「武道・武術指導者とは」の話題がネット上で盛り上がっているわけです。
「我々はそんなイメージで見られてるのか」「武道指導者は怒りっぽい人間じゃない」「武道指導者=人格者というのも」
……さまざまな意見が飛び交っていますが、「ちょっと違うよね」という意見が特に多いですね。

まあ、確かに「武道指導者は怖い先生、または人格者である」のイメージが強いのも、わからないでもないんですがね。
ほとんどの武道の理想は「武道を通して強さと思いやりを兼ね備えた深みのある人間になる」なのですが、残念ながら、まだ多くの武道家は、その修行の途中なのですよ。

10年ほど合気道を続けていて、いろんな指導者に会いましたが……「武道指導者=強面の先生」「武道指導者=人格者」については、「イエスでありノーである」としか言えないんですね。
指導者の気性や門下生との相性にもよるので。

それに、道場と学校の違いを無視して、学校の先生と武道指導者を同列に並べて語るのは、無茶な気がします。

何よりも学校と道場の大きな違いは「門下生は嫌になったら辞められる」です。
基本的に道場には、「その指導者が好きで辞めなかった人(稽古が嫌にならなかった人)」ばかりが残っているわけですが、学校だと「授業が嫌だから」といって、そう簡単に辞められませんからね。

それに学校のように、ほぼ同じ習熟度の生徒を一定期間、一律に勉強を教えるのとは違って、武道は教わる側の習熟度も経験年数もがバラバラなので、それぞれのレベルによって、教える側も対応を変えていかなければいけない。
初心者向けの保育士のようなスキルから、有段者向けの大学教授のようなスキルまで、さまざまな教えるスキルが必要になってくるわけです。

例えば、私は3級になった頃から所属道場の初心者クラスで、「先輩」として初心者をサポートしていました。
もちろん、「技を指導する」段階ではなくて、「初心者の不安をできる限り和らげ、モチベーションを落とさせずに、せめて3級まで導く」を自分の役目と決めていました。
合気道は努力しだいで上達できるから、とにかく「続ける」ことが大事。 

ところが、当時の所属道場では、3級までに初心者の7割が脱落してしまう状態で、指導の初歩の初歩「稽古を続けられるように合気道の興味を抱かせる」役割をする人間が必要だったのです。
とりあえず「稽古を続けること」ができるようになった初心者を、「技は○○さんに教えてもらいなさい」と、「技を磨く」ことを教えるのが得意な有段者に引き継いでいました。

……こんな感じで、習熟度によって教える内容も変えていかなければいけないんですけど。
これがまた、難しいんですね。

……次回に続く……
ラベル:合気道
posted by ゆか at 10:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by akado_kenshi at 2013年02月24日 12:58
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