全国展開する遺品整理専門会社・キーパーズのキャッチフレーズだ。
遺品整理から形見分けの全国配送、葬儀社紹介。
部屋の清掃・消毒。
リサイクル品の売買。
不動産売却・解体。
リフォーム相談。
車やバイクの廃車手続きと、そのサービスは至れり尽くせり。
独居老人の孤独死の増加で、今後も需要が高まる遺品整理業。
この本は、キーパーズ社長の吉田太一氏が、自分の遺品整理業の体験を書き綴ったもの。
人が死んだ時に遺品が出るが、遺族が引き取らないものも多い。
不要な家財道具や衣類。
発見が遅れた孤独死の人の遺品は、死臭がついて、遺族が引き取りを拒む。
それらを処理し、場合によっては供養する。
遺体の片付けや部屋の消毒や清掃など、原状回復も仕事だ。
一人暮らしの人が死んだ時の、残された家族の悲しみ。
不動産会社からの賠償要求など、家族にふりかかる負債。
遺産分配の確執。
発見が遅れた腐乱死体のすさまじさ。
死臭に悩まされる近隣の人々。
次の入居者が見つからない大家の悩み……
孤独死は、色々な人に迷惑がかかる。
ほんの少し、近所の人や家族が様子をみていれば、避けられたケースも多い。
確かに、昔から「家族に看取られて自宅で死ぬ」のが理想とされているが……
以前、私と夫は、危篤になった知人を見舞ったことがある。
その人は、自宅で大勢の家族に囲まれて床についていた。
だが、苦しむ本人の周りでは、遺産分けの話が出たり、時計で引き潮(引き潮の時に人は死ぬ)の時間を見る人もいたり……
夫と私は、いたたまれぬ思いで逃げるように帰った。
その人は裕福な老人だったのだが……
本当に人の死にざまは難しい。
この本は、遺品整理業を「お客様の感謝の言葉が励み」と誠心誠意勤めている、著者本人の人柄のせいか、人の死にまつわる恐ろしい話を書き綴っているのに、やわらかい。
故人と家族に対する思いやりが、行間からあふれているからだろう。
『遺品整理屋は見た!』 吉田太一 著 扶桑社
ラベル:遺品
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今月のアクセス解析では、またもや拙ブログのご紹介を
いただき、ありがとうございました。
かなり恐縮です。
きちんと本に向き合うどころか、その本の中の「読みやすい」部分を
どこかでピックアップしている自分を、毎回感じているからです。
ある本について思ったことを、誤解をおそれず、正直に書くのは
難しいものです。
その点で、一貫して果敢な姿勢を取られている島村さんの書評には、
学ぶところがたくさんあります。
こちらの本も、興味深い内容だけに、
取り上げ方が大変難しい本のひとつだと思うのですが、
フィルターをかぶせることなく、全てをまっすぐに
紹介されている…そこがすごいと思います。
本はもちろん、書評にも、書かれた方の人柄が表れるのでしょう。
私はまだまだだなあ、と思います。