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2013年02月12日

丹田呼吸法(後編) 呼吸と振動

多田師範の稽古のカリキュラムは2段階。


『呼吸法により宇宙の根源の力と知恵を全身に受け入れ、心を鍛え制御するとともに命の力を高め、感覚力、呼吸力を高める』
『呼吸法によって得た力を体の動きへと転換してゆく』

『宇宙の根源の力と知恵を全身に受け入れ』……

呼吸法って、そんなに大掛かりなことだったのか。
「持病の喘息を軽くしたい」なんて動機で、安易に合気道はじめちゃいけなかったかもしれない。

落ち込みながらも先に進みます。

呼吸法の最初のトレーニングは、自分の内部を意識する「内への呼吸法」。

足を肩幅に開いて立ち、両手を下から上へ。
まっすぐ上げながら息を胸いっぱいに吸い込み、両手を下ろす。
その時に息を吐く。

この動作を3回繰り返します。

1回目は、両手を前に下ろしながら息を吐く時に、「あ〜」と静かに声を出して全身に響かせる。
2回目は、手を下ろす途中、胸の高さで「あ〜」という声を出すのを止める。
3回目は、まったく声を出さずに呼吸だけをする。

「あ」「い」「う」「え」「お」と、それぞれの音に対し3回ずつ動作をし、最後が「うん」。
これは口を結んだ状態でやります。

やってみると……

2回目の「声を途中で止める動作」が不自然でしたが、これを続けることで「身体に無声の音が響き身体の隅々まで振動が伝わる感覚と、無声の音を聞く感性が養われる」らしい。
物理的な音の振動を心の小さな振動に変えることによって、心の働きを静めるのが、この呼吸法の目的。

続いて「外から内への呼吸法」。

4つの呼吸法……『呼吸操錬』があります。

1.足を肩幅に開いて立ち、息を吸いながら拳を握り、肛門を閉めて呼吸を止める。
腹に気合を入れ、「ぴっぴっぴ」と鋭く振動を起こすイメージで指を弾きながら、すばやく両手を差し上げ、息を吐きながら両手を真横に下ろす。

2.「息吹」と呼ばれる生命力を高める呼吸。
足を肩幅に開いて立ち、首や肩から力を抜き、親指を握りこむ。
宇宙の力を受け入れるイメージで大きく息を吸い、「ウゥ」と鼻から息をいきみ出す。

3.肺の動きを活発にする呼吸。
足を肩幅に開いて立ち、息を吸いながら胸をさすり、息がいっぱいになったら息を止めて、胸を指先で太鼓を叩くように叩く。
その後、頭上に両手を差し上げ、息を吐きながら真横に下ろす。

4.呼吸筋、肋骨筋を鍛える呼吸。
足を肩幅に開いて立ち、左右に両手を開き手首を外へ曲げる。
手首の形はそのままで、息を吸いながら両手を脇の下に通し、顔の前で合掌。
合掌する時には腕の下側を引っ張り上げること。

……なるほど。
「呼吸しながら振動を起こして体を活性化させる」のが、多田師範の「呼吸操錬」の特徴らしい。

実際にやってみると、「呼吸操錬」はできるのですが、「内への呼吸法」が、どうしてもうまくいかない。

息を吐きながら声を出す、無声のまま呼吸するのはいいんですが。
「息を吐きながら声を途中で止める」のがだめですね。
自分の声の響きが上半身でとどまる。
手足の先、体の隅々まで振動がいきわたらないんです。
何かに妨害されている感じすらある。

この呼吸法を繰り返しているうちに、自己防御本能(身体の意思)から「その動き、やめてくれませんかね」と苦情がきました。

……やっぱりなあ。

私は生まれつき病弱で身体の欠陥もある。
喘息や鼻炎をはじめとするアレルギーの持病の原因、ハウスダストやダニ、カビの胞子や花粉などの目に見えない敵。
さまざまな要素で起こる持病の数々。
それらと戦い続けるうちに、私の意思とは別に身体自身の意思が発達したのです。

身体の意思の「異変を察知する能力」は高く、空気中のハウスダストの濃度を瞬間的に読み取り、吸い込んで喘息や鼻炎を起こす前に阻止する。
喘息が悪化する寒冷前線の到達時間を、天気予報以上に正確に察知するなど、驚異的な能力で、常に体を危険から守っています。

それに、私が熱さで脳貧血を起こし、路上で意識を失った時には、体が勝手に横受身を取って、コンクリートの階段に頭が激突するのを防ぎました。

異変を察知する能力が高いだけではなく、私が意識を失っても、きちんとバックアップできる。
「身を守る」ことについては、身体の意思の方が私よりも優秀なのです。

おそらく身体の意思は、「内への呼吸法」の鍛錬にひそむ「脳が心や体を支配する力」を警戒して、異議申し立てをしてきたのでしょう。

持病や生まれつきの欠陥が複雑に絡み合っていながら、ある種のバランスを保っている私の体。
そのバランスを崩すことを身体の意思が嫌うのは当然。
バランスが崩れれば私も困る。

今、この文章を書いている私も「島村由花」を構成するパーツの一つにすぎません。
こういう判断ミスが多い人間が、「島村由花」全体を支配するのは非常に危険な気がします。

しょうがない。「内への呼吸法」は断念だ。

逆に言えば、この「内への呼吸法」の鍛錬は、健康な人にとって「脳が体と心を支配する」のに効果的な技術だということかもしれません。

……しかし、この呼吸法をセミナーでやるのもまずいなあ。
会場が会議室なので、全員で「あ〜」とか「ウゥ」とか言ってると、「怪しい声がする」と隣室の利用者や施設管理者から苦情がきそうだ。
とりあえず、今回は参加者全員が武道未経験者ということもあるし、「禅」系統の簡単な呼吸法で丸くおさめておくかな。

「一技一呼吸」以外に存在していた「合気道の丹田呼吸法」。
特に「呼吸操錬」は、それほど動作が難しくないのでお勧めです。
ラベル:合気道 呼吸法
posted by ゆか at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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