試供品のメリットは、「自分が買おうと思わない文具の使い心地が試せる」こと。
試供品の中に、気になるボールペンがありました。
ぺんてる「ビクーニャX」。
試供品の「ビクーニャX」は黒一色の軸の単色ボールペン。
「ビクーニャ」は、メタリックでカラフルなぺン軸に、白いラインが入った流麗なデザインだったのに、「ビクーニャX」ときたら、黒い単色のペン軸にクリップとラバーがついているだけの……よく言えば素っ気ない、悪く言えば無骨というか安物っぽいデザイン。
展示会では「ビクーニャの新商品です」と言って配ってたけどなあ。
「ビクーニャ」は1本157円。
軸は、ブラック、オレンジ、イエローグリーン、ピンク、スカイブルー、パープル、レッド、ブルー、グリーンで9種類。
インクの色は黒赤青の他、緑、橙、桃、水色、紫。
「ビクーニャX」は1本105円。
軸の色はブラック、クリアオレンジ、クリアグレイ、クリアピンク、クリアブルー、レッド、ブルーで7種類。
インクの色は黒赤青のみ。
普通、ボールペンの新商品が出る時は、以前の商品よりもペン軸のデザインがよくなって、インクの種類が増えて高級になるものですが、「ビクーニャX」の場合は逆になってる。
……わからんなあ。
『ぺんてる株式会社』のニュースリリースで、その謎が解けました。
「ビクーニャX」は、すでに2011年11月に発売されていたのです。
ただし、取り扱っていたのは通販業者や納品事業者のみ。
文具店の店先には出てこなかった商品でした。
「ビクーニャ」のぺン軸のデザインを簡素化、インクの色を減らして価格を安くした商品が「ビクーニャX」で、販促にも使えるように、あえて企業名を入れやすいデザインの軸にしたらしい。
この「販促用」を想定した「ビクーニャX」が、2013年2月から一般向けにも売り出されたというわけですね。
なるほど。それで、試供品についていたチラシに、名入れのサイズや印刷の説明が、やたらに細かく書いてあったのか。
ちなみに、低粘度油性ボールペン界での「ビクーニャ」のライバル、三菱鉛筆「ジェットストリーム」で、企業名の入った販促ボールペンを見かけることがあるけど、「ビクーニャ」では見かけませんねえ。
「ビクーニャ」は1本157円。
「ジェットストリーム」は105円。
ノベルティに使おうとすれば、一度に数百本単位のボールペンが必要になりますから、企業は「「ビクーニャ」は販促用に使うには割高」と判断するでしょう。
一般ユーザーはボールペンを数百本単位で買わないけど、企業の販促用なら一気に数百本単位で売れる。
変形四角形で握りやすい軸の形や、ロゴが浮かび上がる美しい2色成形の軸や、おしゃれなラバーグリップを捨ててまで製造原価を下げ、「薄利多売商法」で勝負に出たわけですね。ぺんてるは。
それに「ビクーニャ」は、普及率では「ジェットストリーム」に負けているようです。
ユーザーとしては、52円も価格差があれば、安い「ジェットストリーム」の方を買ってしまいます。
安いといっても書き味はいいから、そのまま「ジェットストリーム」ユーザーになってしまう。
……ぺんてるは、相当な危機感を抱いているのかもしれません。
「ビクーニャX」は、ペン軸が安物になっただけで、世界一のなめらかさを誇る、「ビクーニャ・インキ」、新潤滑剤とボールペンチップ技術で書きはじめのカスレやボテを限りなくゼロにした「ビクーニャ・ファイン・ライティング」は、そのままなので、書き心地はいいです。
「使ってみたいけど、「ビクーニャ」って高いからなあ」と思ってる方は、ぜひ「ビクーニャX」をお試しください。
ラベル:ボールペン