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2013年04月16日

岩間の太刀(前編) 謎の刀

そろそろ自分用の木刀がほしい……。

そう思いはじめて2年たちました。

所属道場では、道場の中に大勢の人がひしめいて稽古するので、安全面を配慮して、ほとんど木刀の稽古をしませんでしたが、出稽古先は少人数で、稽古場の面積が広いため、毎回木刀の素振りの稽古があります。

今は先生の木刀を借りて稽古しています。
最初、軽めの「赤樫」の木刀で、素振りの稽古をしていたのですが、ある時突然、いつもの調子で振ると頼りない感じがしました。

「腕力がついてきたので、そろそろ「赤樫」では物足りないでしょう」

そう先生に言われて、少し重い「白樫」の木刀を借りて稽古していましたが、最近それも物足りない。

どうやら腕力がつくにしたがって、だんだん重い木刀がほしくなってくるようです。
先生も「白樫」より重い予備の木刀を持っていないので、そろそろ自前の木刀を買わないとダメかな。

「自前の木刀ですか? 僕は合気道はじめて3ヶ月ぐらいで買いましたね。素振りは、一人稽古に最適なんですよ。体の中心を意識するよい稽古になりますしね」

先生は笑顔で言いました。

もしかして、初段で自前の木刀を買うのは遅い?

以前、夫(空手四段剣道三段少林寺拳法三段大東流合気柔術二段柔道初段)に木刀を選び方を訊いたら、「自前の木刀は1本だけじゃすまへんで。自分の技量が上がるにつれて、ほしい木刀のレベルが上がっていくからな」と笑われました。

「とにかく、その時、ほんまに自分がほしいと思ったもん、買うこっちゃな」

……そうか。最初で「究極の1本」を選ばなくていいんだ。
どうせ買うのだったら、あの木刀がほしい。

私が目をつけたのは先生が使っている木刀。
みんなで先生の昇段祝いに贈った「白樫」製、「岩間型」と呼ばれる変わった形の木刀です。

年配の有段者が京都の武道具屋で見立てたものですが、この刀は、普通の木刀と違って刀の切っ先がない。
外見は「木刀」というより「ちょっと反り身の棒」。

でも、先生から借りて振らせてもらった「ちょっと反り身の棒」は、妙に振り心地がいい。
ただ重いだけでなく、振り下ろすと丹田にずしりと響く、独特な安定感が魅力的。
自宅のミニ道場では、切っ先どころか鍔や鞘までついた、もっと本格的な刀「居合刀の脇差」を素振りの稽古に使ってますから、この際、切っ先がない木刀でもいいや。

「岩間の木刀? あんな高い木刀、最初に買うもんじゃないよ」

年配の有段者に相談したら大笑いされました。

「まず、普通の木刀買ったら? 祭りの夜店で安物の木刀を振って、しっくりくるのがあったら、2000円もしないで木刀が手に入るよ」

木刀を売ってる祭りの夜店を探すのも大変そうだけど、祭りの人混みの中で、試しに振り回したらもめ事が起こらんかなあ。

そりゃ、先生の持っている木刀も、昇段祝いの岩間刀以外は普通の木刀だから、「最初の1本」は、普通の木刀にするべきなんでしょうが……。

それでもほしいものはほしい。

まずは木刀の基礎知識から勉強しましょう。

全国の木刀の90%を生産している宮崎県都城市。
『都城木刀展示館』によると、木刀の歴史は古く、室町時代初期には護身用の武器として存在していたようです。

江戸時代中期、中西派一刀流や直心影流が防具と竹刀を稽古に取り入れた時、木刀は心身の鍛錬用の道具として重視されるようになりました。
その伝統が剣道に受け継がれ、大正元年に日本剣道型が制定された時に、練習試合には竹刀、型の稽古には必ず木刀を使うことになったそうです。

木刀には様々なタイプがあり、普通の木刀の切っ先の形は「はまぐり型」と呼ばれます。
「はまぐり型」の次に多いのは、二天一流も使っている「剣道型」。
古流に多い「関東型」。
示現流、無刀流、鹿島神流などで使われる、安全面を重視した「切っ先を丸く加工した型」。

切っ先がない「切っ先が切りっぱなしの型」……『合気道木刀と岩間流がこの型です』とは書かれているものの、私が所属道場で見たのは、どういうわけか切っ先のついた普通の木刀ばかりでした。

……うーむ。よくわからん。
それはともかく、やっぱり「岩間の木刀」がほしい。

合気道用品専門店『星道ショップ』によると、木刀は素材によって用途が違います。

「本赤樫」は樫の中では一番重硬で強靭。
素振りだけでなく、打ち合いなどの実戦的な稽古向き。

重量も強度もあるので打ち合いや素振りなどに最適。
木刀・短刀・杖・棒など、幅広い武器の素材に使われる「白樫」。

「本赤樫」が希少なため、「赤樫」と呼ばれて普及している「イチイ樫」は、打ち合いや型、素振り用。
軽い上に価格がお手頃で、初めて木刀を買う人にもお薦め。
薄いクリーム色から濃い茶色まで、さまざまな種類があり、きめの緻密さと堅さと粘りがあり、型稽古に向く「イスノキ」。

「スヌケ」とは、樹齢約250〜400年の「イスノキ」に現れる、焦げ茶色の堅く重い芯部。
硬く重いけれども、粘りがないために割れやすい。
素振りには向きますが、打ち合いなどの実戦中心の稽古には不向き。
贈答・装飾用の木刀としても人気があります。

非常に軽く、柔らかいため、打ち合いなどには不向きですが、手の内、力の入れ具合、肩周りの感覚など、木刀を振るための繊細な感覚を鍛えるに最適の「桐」。
別名「鉄木」、重く強度があり、素振りに向いている「紫黒檀」。
黒と焦げ茶色の独特な縞模様の美しい木目で、装飾用・贈答用に人気がある「縞黒檀」。

稽古用の木刀として、初心者には「赤樫(イチイ樫)」、子供や女性には軽い「イスノキ」、男性は「白樫」「本赤樫」がおすすめらしい。

『都城木刀展示館』によると、木刀の重さは材質によって違います。
通常の大刀(全長3尺3寸5分、柄8寸5分)の場合……。

「桐」が約170g。
「赤樫(イチイ樫)」が450g〜530g。
「白樫」が500g〜580g。
「本赤樫」が520g〜600g。
「イスノキ」が520g〜580g。
「スヌケ」が650g〜700g。
「紫黒檀(鉄木)が」550g〜650g。
「縞黒檀」が約700g。
 
なるほど。私は「白樫」の木刀振っても平気だから「白樫」製でいいかな。

では、「岩間の木刀」を探そうか。

……次回に続く……
ラベル:合気道 木刀
posted by ゆか at 17:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
木刀について、勉強になりました。面白いですね。
岩間の木刀は結構売っています。
お詳しいのでご存知だとは思いますが一応貼っておきます。
岩田商会
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/iwataco/main.html
木剣ショップ
http://bokkenshop.net/shopdetail/004001000002/order/
東山堂
http://tozando.net/shopdetail/003005000001/order/
など。
東京ドーム前の「尚武堂」でも、ネットでは出ていませんが、お店に行くとたまに売っています。ここの合気道用の切っ先なしの木刀は、刻印が桜の花の中に「合」の字となっています。
僕の愛用の合気道用の木刀は二本ともこれです。
Posted by 小山合気会管理人 at 2013年04月16日 23:10
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