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2007年03月10日

古を鑑みる(前編) 昔の人と現代人

「合気道やると、体の動きが左右対称になって、合理的に動ける。楽できるぞ」……夫はそんなことを言って、私をそそのかしたのでした。

そもそも私が合気道をはじめたのは、武道13段(空手4段剣道3段少林寺拳法3段大東流合気柔術2段柔道初段)の夫の勧め。
目的は「合気道の丹田呼吸法をマスターして持病の喘息を軽くすること」。(詳細は『合気道へ(前編)』にて)

喘息を軽くしたい願いも強いのですが、自分でも、極端な左利きの動きをしていることはわかっていたので、「左右対称」「合理的」「楽できる」も魅力的だったのです。

なにしろ、私の場合、日常生活上、ある程度の「喘息発作による稼動不能時間」を見込んでおかなければいけません。
おかげで、喘息が治まっている時は、普通の人の3倍速で行動して帳尻を合わせるはめに。

「忙しいか、寝込んでるか、どっちかしかないよね」と友人知人に呆れられていますが。
いつも「いかにして合理的に動くか」を模索中。

さて、最近、古武術……昔の日本人の動きを現代に蘇らせ、武道だけでなく、スポーツや介護などの日常生活に生かそうとする研究が、色々な分野で行われています。

昔の日本人と現代日本人の動きの大きな違いは、体の中心、重心の移動の仕方。
同じ側の手と足が同時に前に出る動き(ナンバ)をしていたこと。

昔の人の動きを取り入れて成功したスポーツ選手は、野球の桑田投手、短距離走の末続選手など……たくさんいますね。

以前、『武道と護身(後編)』で、私の妹(テニスが好きなスポーツウーマン)が、「同じ側の手と足を同時に動かす」合気道の動きに衝撃を受けた……という話をしました。

合気道の場合は、右手が前に出れば、前に出るのは右足。左手が前なら左足が前。
ところが、現代人の身体は、右手が前に出れば左足が前に出、左手が前に出れば右足が前に出る……
行進やマラソンの動きを思い出していただくと、わかりやすいですね。

しかし、これは、人間の体がそう動くようにできているのではなく、訓練の成果らしい。

私が合気道をはじめる時、夫に台所に呼ばれました。
我が家の台所には、ダイニングの椅子や机がありません。
空いた3畳ほどのスペースで、ちょっとした武道の稽古ができるのです。

「ちょっと、2、3歩歩いてみ」

夫に言われるままに、私は台所を歩き回ってみました。

「ふーん。手高く上げて歩く癖はないんやな」
「手を高く上げたり、足を高く上げて行進するのって、体育でやったけど、私はあれ、嫌いやったんや。やってて、しんどい」
「そりゃ、当たり前やろ。ムダな動きやねんから」
「ムダ?」
「そりゃ、筋力ついて、やせるかもしれへんけどな。腕やたらに振ったり、足垂直に高く上げたら早う歩けるか? 関係ないやろ」
「そりゃ、そうやな」

夫は、にやりと笑いました。

「まあ、これやったら、なんとかなりそうや。今から、合気道が早くうまくなるために、宿題出す。腰をひねらずに、体の重心を動かす訓練や。これがスムーズにできるまで、毎日練習せい」

その「宿題」とは……
まず、両足を肩幅ほどに開き、やや腰を落とし気味にします。
この時、自分の体の中心を下腹と意識。
手はだらりと下げたまま。

最初に、腰をひねらずに右足を軸に右に反転。
次は左足を軸に左に反転。
この時、足を上げてはいけない……これを繰り返す。

なんのことやらわからぬまま「楽したい」一心で、毎日台所で練習。
この動きがスムーズにできるまでに、2ヶ月かかりました。

実は、この奇妙な「宿題」は、合気道の稽古には存在しないもの。
でも、この謎の「宿題」のおかげで、その後の合気道の上達が早くなりました。

初段を目前に控えた今も、私は、合気道の稽古をしながら、「今より合理的に動いて楽をする」方法はないか、いつも考えています。
合気道を続ければ続けるほど、「現代人より昔の人の方が、合理的な体の使い方をしていたんじゃないか」と思うようになってきました。

「昔の日本人の身体操作を現代の生活に生かす」……

この分野の第一人者は、古武術家の甲野善紀氏ですが、甲野氏とは別の視点から、古流武術の動きを、現代武道に生かそうとしている興味深い文献を、最近見つけました。

……次回に続く……
ラベル:武道 合気道
posted by ゆか at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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