「私は執筆にポメラを使っていますが便利ですよ」
……ポメラ?
電子メモを?
Twitter上で小説作成支援ソフトの話題が出た時のことでした。
折りたたみ式キーボードつきの電子メモごときで、本当に小説が書けるのか?
半信半疑で『株式会社キングジム』サイトをのぞいてみると……。
私の目を奪ったのは「ポメラDM100」。
ノートパソコンをコンパクトにした外見。
バックライトつきの液晶画面。
マウスもテンキーもない。
……これって、ラップトップ型のワープロ専用機じゃないのか?
「ワープロ専用機って何やねん」と思われた若い方もおられるでしょうが、20年以上昔、パソコンとは異なる日本語文書作成専用コンピュータが、会社や家庭に普及していたのです。
『IT用語辞典 e−Words』によると、最初のワープロ専用機は、東芝が1978年に発売した「JW―10(トスワード)」。
外見はマウスのついてないパソコン。
発売当時は文字入力と簡単な作表だけしかできない上に、メーカーごとに仕様が違っていて互換性がなかったのですが。
後に互換性の問題が解決され、表計算機能や図表作成機能、イメージスキャナやペンタッチ入力、WEBブラウザや電子メールソフト、HTML文書作成機能などを持つものも現れました。
ワープロがオフィスや家庭から姿を消したのは90年代後半。
パソコンが安くなり、ワープロソフトの機能もよくなったことが原因。
2000年代には製造中止になり、絶滅したものと思っていましたが。
……まさか、こんなところで再会するとは。
『株式会社キングジム』のニュースリリースによると、このテキスト入力専用デジタル文具「ポメラDM100」の発売は2011年11月。
文庫本サイズの本体に二つ折りのキーボードがついた他の機種と違って、「DM100」は普通のキーボード。
しかも他の機種よりもキーボードのピッチの幅が広くて打ちやすい。
電子辞書も搭載。
……やっぱりワープロじゃないかなあ。これ。
ちなみに、「ポメラDM100」のAmazonのカスタマーレビューは71件で、おすすめ度は5段階評価の☆4つ半。評判いい。
『出かけ先で小説などの文章を書くのに最適です』というコメントを読むと、いてもたってもいられなくなり、翌日、ヨドバシカメラ梅田店へ。
展示品が1台だけ残ってました。
パンフレットによると液晶画面は5.7インチ。
そんなに小さいわけでもない。
本体メモリは128MB。
テキスト形式とCVS形式(表計算は不可)対応だから、WordやExcelにデータを移すのも簡単。
最大1572ファイル(1ファイルあたり最大40000字)ということは、本一冊分の原稿がポメラで書けることになる。
問題はキーボードのサイズですが、実際に打ってみると、それほど気にならないし、入力システムはATOKで変換速度も速い。
しかし、「手が楽しそうにキーボードを打つ」、この感じは何だろう?
……思い出した。
ワープロの方が打ちやすいので、パソコンが普及しても東芝Rupo(家庭向けワープロ)を使い続け、それが寿命になって、ようやくパソコンを使いだしたのでした。
昔のワープロを打つ感覚が一瞬で蘇ったわけですね。
帰宅して一番安い値段だったamazonに商品を発注。
すでに「DM100」を愛用中の万年筆愛好家のフォロワーは、手書きより早くて確実なので、ポメラでメモしたデータをWordに貼りつけて、資料や議事録を作成するそうですが。
テキストの縦書き表示や親指シフト入力もできる。
記憶媒体はSDカード。
テキストをQRコードに変換して携帯メールで文章を転送したり、Evernoteに投稿したり、USBでパソコンにつないだり、BluetoothでiPadやiPhone、iPod touchのキーボードとしても使える。
「進化したワープロ専用機」、届くのが楽しみです。
ラベル:メモ