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2007年03月17日

『芸術起業論』

一作品、落札価格一億。世界的に有名な現代アートの巨匠……の作品がこれか? 

その写真に、私は正直とまどった。
普通の美少女フィギアや、ポップなイラストに見える……

きっと私が凡人なので、そう見えるだけで、本当はすごいアートなのかもしれない……

著者の村上隆はアーティスト。
日本アニメなどのサブカルチャーをベースにしたポップな作品を発表。

ニューヨーク・ジャパン・ソサエティ文化芸術賞、ニューヨークAICA『ベスト展覧会』受賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など、国内海外の芸術賞を多数受賞。

ニューヨークと東京に拠点に、世界中で展覧会を開催。
ルイ・ヴィトンの鞄のモノグラムのデザイン。
若手作家のプロデュースなど、その八面六臂の活躍ぶりには圧倒される。

「世界で評価されない作品は、意味がない」
「価値を生むのは、才能よりサブタイトル」
「歴史の引き出しを開けると、未来が見える」
「芸術家の成長には、怒りが不可欠である」

……4年近くかかって完成したこの本は、一つ一つの言葉が鋭く磨かれ、熱く、粘っこい。

「金額は、評価の軸として最もわかりやすいものですよね」とうそぶきながら、彼は工房を経営し、儲けた資金を投入して優れた作品を作る。
欧米の芸術市場の動向のチェックも抜かりない。
潮流に合った作品を作り、価値を高めようと画策する一方で、「世界で唯一の自分の核心」を探求する……

自分の欲望にストイックなほど忠実な人だ。

もし、彼が本当に拝金主義者なら、「今の日本の知的芸術的資源は「かわいい」と「オタク」なのですから、そのへんを発展させていかなければなりません」とは言わないと思う。

今のうちに、日本が「オタク」「かわいい」の権威を握れば、イタリアのように、自国文化を輸出して金銭的に発展できるのに……

日本芸術の将来を真剣に案ずる村上隆。

「私は『美』ために働いていきたい」……

彼は、これからも、さらなる高みを目指す。

『芸術起業論』 村上隆 著 幻冬舎
ラベル:芸術
posted by ゆか at 10:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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[本] 『芸術起業論』。
Excerpt: 3月ギリギリで村上隆(著)の『芸術起業論』を読み終えた。 芸術起業論 作者: 村上隆 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2006/06 メディア: 単行本 (注:書店では取り扱ってない場合が多い..
Weblog: Let it Be : 素直なる一日
Tracked: 2007-03-31 21:27
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