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2013年06月08日

『発想の技術』

「戦国もの小説の企画がありましたら。歴女向けなので時代考証は不要です」


出版関係のパーティーで名刺交換したフリー編集者は言った。

そう言われたものの……調査好きの私に時代考証せずに歴史小説を書くのは無理。
それに「歴女」……ゲームから日本史に興味を持った人々が、時代考証抜きの歴史小説を読んでくれるのか?
 
「いいアイデアができたら、またご連絡します」と言って、その場を切り抜けたが、企画を作る仕事は本当に難しいものだ。

この本の著者は電通コミュニケーションデザイン・ディレクター。
『問題を解決し、継続的に世の中を動かすための動力』……「アイデア」をこう定義して、「アイデアを生み出すためのルール」について書いている。

そのステップは大きく分けて4つ。

課題の成り立ちを分析して本質を知る『把握の技術』。
観察と洞察を繰り返して問題解決の障害「敵」と解決の助け「味方」を知る『発見の技術』。
新たな価値観を持ち込む『転換の技術』。
新しい価値観を世の中に伝える形「コンセプト」を作る『具体の技術』。

私が特に必要としているのは『転換の技術』と『具体の技術』。

新たな価値観を持ち込み、競合者の群れから抜け出す『転換の技術』は「一段上に行く」「別のカテゴリーに見せる」「ストックかフローか、成り立ちを変える」。

この「ストックとフロー」の例えは興味深い。
あらかじめ規定した読者向けに作る「ストック型雑誌」と、読者とともに徐々に変化する「フロー型雑誌」。
私には「フロー型」の方が合っているような気がする。

そして『具体の技術』に必要なのは「コンセプト」。
「そのものが存在しなければならない理由」のことだが、それを生み出すためには「自分の内なる情熱」が必要らしい。

そのため「アイデアを出すことを「仕事」にしないことこそ、よいアイデアを生み出すことにつながる」という矛盾した結論が出てくるが、わかるような気がする。

さて、これを踏まえて捕物帳の企画を作ってみよう。

『発想の技術』 樋口景一 著 電通
ラベル:アイデア
posted by ゆか at 12:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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