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2013年06月15日

胸式呼吸(前編) 癖と習慣

真夜中のことでした。

息苦しさで目が覚めて、枕元の喘息の発作止め薬に手を伸ばそうとすると……

突然、左胸から背中に走る激痛。
思わず飛び起きると、今度は左脇腹から右胸にかけて走った鋭い痛み。
悲鳴をあげて、ベッドに倒れこみました。

……肋間神経痛か……

肋間神経痛……まだ原因も解明されず、根本的な治療法もない病気ですが、私の場合は喘息に誘発されて出てくるようです。
ここしばらく軽い喘息発作ですんでいたのに。肋間神経痛が出てくるとは。
やっかいなことになった。

背中や肩や脇腹に、ひっきりなしに刃物で切りつけられたような痛みが走る。

なんとか痛みをこらえながら、ベッドに座り込んで、再び発作止めに手を伸ばそうとしたところに、今度は左胸を貫通する激痛。
私は仰向けに倒れました。

「騒がしいのう。さっきから何をジタバタしてんねん。……喘息か?」

ドアが開く音がして、夫が入ってきたようですが、私はベッドの上にうずくまったまま身動きできません。

「……肋…間…神経…痛……」

かすれた声で、ようやく言えたのは、それだけ。

「ほれ、ちょっと体起こしてみ」

夫は私の両肩を後ろからつかみながら、肩から胸に抜ける痛みに効くツボ、鎖骨の下のくぼみ「中府」に指を押し当てました。

急に大量の空気が肺に入って、私がむせるのにもかまわず、夫は次々とツボを押していきます。
胸の痛みに効く鎖骨の上の「欠盆」、背中の痛みに効く肩甲骨の内側の「心愈」。

温かい手でツボを押され、背中や肩の筋肉をほぐされているうちに、痛みが治まってきました。

「この程度でマシになるんやったら、そんなに大したことないわ」

夫は大東流合気柔術2段。
柔術家にとって「ツボは急所」「関節ははずしたら治すもの」なので、初歩的な応急処置ができる。

ちなみに、柔術の応急処置の技術「活法」は、柔道整復師や整体の技術となって現代にも引き継がれています。

肋間神経痛の痛みはなくなったものの、まだ喘息の息苦しさは残る。
震える手で、発作止めの吸入器を使っている私に、夫は呆れたように言いました。

「だいたいやなあ。何のために合気道やっとるねん。こういう時こそ丹田呼吸法やろが」
「……すみません……」

そもそも喘息を軽くする丹田呼吸法習得のために、合気道をはじめたというのに、いざとなると、身につけたはずの丹田呼吸法が全然役に立たない。
いや、落ち着いていたら、できたかもしれないけど。

「とりあえず、背中に湿布でも貼って寝とれ。……ほんまに世話焼けるやつや」

そう言って、夫は部屋を出て行きました。
 
首の後ろから背中までの範囲に自律神経や呼吸器のツボが集中しているので、そこに湿布を貼って、温めつつ筋肉の緊張と痛みをとる……。

しばらくして、喘息も治まり、ようやく眠りにつくことができました。

それにしても、自分の呼吸を意識するのは難しい。

人間の呼吸には、胸郭を開いて一気に酸素を大量に供給することで交感神経が活性化し、体が活動的になる胸式呼吸法。
横隔膜を使い、ゆっくりと空気を取り入れることで副交感神経が活性化、体がリラックスして血圧が下がる腹式呼吸法があります。

「腹式呼吸やらないから喘息がひどくなるんや」と、子どもの頃から散々言われてきているものの。
実際、発作の最中は激しい咳や嘔吐や胸の痛みをこらえるのに必死で、心を鎮めて腹式呼吸法ができるような余裕がありません。

確かに、息を吸う時にお腹を膨らませ、吐く時に息を押し出すようにお腹をへこませる腹式呼吸法は、冷静になり、体の緊張を取る効果があります。
武道の世界では「丹田呼吸法」と呼ばれて重視されていて、技の上達には欠かせないもの。
しかし、なかなか使いこなせないんですね。

それにしても、呼吸の習慣を変えるのは難しい。

呼吸と習慣について調べていたら、『ALLABOUT』に恐ろしいことが書かれていました。
「睡眠ガイド」で、医師の坪田聡先生によると、鼻ではなく、口で呼吸する人はアレルギーや自律神経失調症になりやすいらしい。

次の条件に一つでも当てはまったら「口呼吸をしている人」になるそうです。

「いつも口を開けている」「口を閉じると、あごに梅干し状のシワができる」「食べるときに、クチャクチャ音をたてる」「朝、起きたときにのどがヒリヒリする」「歯のかみ合わせが悪い」「唇がよく乾く」「イビキや歯ぎしりがある」「口臭が強い」「タバコを吸っている」「激しいスポーツをしている」

「激しいスポーツをしている」……合気道? 
確かに人を投げ飛ばしたり投げ飛ばされたりしてるから、「穏やかなスポーツ」とは言えないな。

困ったなあ。
持病のアレルギーや発作性頻脈などの自律神経障害を、なんとかしたいから合気道をしているんだけど。

鼻呼吸をすると、空気中の細菌やアレルギー物質は、鼻毛や鼻の粘液にからめ取られ、さらに鼻の奥の扁桃リンパ組織に遮断されて肺に入にくくなる。
それに鼻を通る時に空気が温められ、湿り気も加えられて、のどや肺への刺激が少なくなる。

……それはわかってるけど。
長らくアレルギー性鼻炎を患っていた私は、鼻呼吸が苦手だったりします。

鼻呼吸をするためには、「みらいクリニック」の今井一彰院長が考案した、口の周りや舌の筋肉を鍛える「あいうべ体操」。
口を閉じてテープを貼って眠るなどが効果的で……。

『鼻が詰まって口呼吸をしている場合には、鼻孔を広げるテープや装具を試してみても良いでしょう』

……ううう。そこまでしなきゃ、呼吸の習慣を変えられないのか。
えらいことになってきたなあ。

ところで、他の武道家の皆さんは、日常的に丹田呼吸法をして過ごされているんでしょうか。
なんだか気になってきましたね。

……次回に続く……
ラベル:合気道 呼吸法
posted by ゆか at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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