あの因縁の文具、やっぱり受賞したか。
このニュースを聞いた時、うれしさと悔しさの入り混じった複雑な心境でした。
ファイルメーカーのリヒトラブが発売した、『あなたのワーキングシーンにスマートにフィットするカバーノート&キャリングポーチ』がコンセプトの『SMART FIT』シリーズ。
素材は軽いポリエステル。
スマートフォンやデジタルがジェットなどのIT機器を傷つけないように、ポリウレタン緩衝材が入っています。
色はオレンジ・ネイビー・ベージュ・オリーブ・ブラックの5色。
「カバーノート」はA5とB5の2種類。
表紙にスマートフォンや葉書、ペンを収納できるポケット。
中をあけると向かって左側がカードやチケットが入るポケット。
中央にバインダー金具。
右側には、ツイストリングノートがバインダーに綴じられた状態で入っています。
ワーキングツールをまとめて持ち運べる便利なカバーつきノート。
問題は「キャリングポーチ」。
サイズは、7−8インチのタブレットが入るA5、10インチのタブレットPCが入るB5、13インチのノートPCが入るA4、背面にベルトループのついたA6サイズの4種類。
マチの広いポケットとフラップつきで、クラッチバッグ、バッグインバッグ、別売りのショルダーベルトを取りつけるとショルダーバッグとして使える。
……「何があかんねん。機能的でええやんか」と思われた方もおられるでしょうが。
実は昨年末、頻繁に文具特集をすることで有名な某誌から、「あなたの文具収納術をご紹介ください」というお話をいただきました。
私はリヒトラブのA5のバッグインバッグを愛用していました。
小型ポケットのサイズも頃合いで、ファスナーで「コ」の字型に全開する大型ポケットも気に入っていたのですが、問題は、大型ポケットのマチが薄いこと。
たくさん物を詰め込めないし、大型ポケットの片側にしか小型ポケットがないので、物を入れるとバランスが悪く、トートバッグの中で転がる。
そこで、同じサイズのバッグインバッグを2つ用意して、ポケットがない側を背中合わせにする形で、黒い平ゴム(スカートやズボンの中に入っているゴム)で間をつなぎ、「マチ」を作りました。
入れる物が増えて大型ポケットが変形しても、鞄の中で安定して直立するように、あえてマチの底はつけない。
バッグの中で固定できるようにストラップ用金具をつけて、バッグの内側にも留め具をつけて完成。
バッグインバッグは、ベルクロとファスナーでポケットを閉じることができるので、ストラップをつけると持ち歩きも楽。
写真と説明をメールで送ったところ「ありがとうございました」の、そっけない返事だけ。
……嫌な予感がしました。
そして2月、文具祭りに出かけた時、リヒトラブの新商品コーナーで、私は愕然としました。
そこにあったのは、私が某誌に送った写真と似たもの……『SMART FIT キャリングポーチ』。
違いはマチに底があって、フラップがついてるだけか。
まずいな。
「これは2月中旬発売予定の新商品です」
案内してくださった事務用品商社の方に、雑誌に送った自分のアイデアと同じで、たぶん、記事は没になるだろうという話をしたら、「それは残念ですね。最近ユーザーさんの発想もすごいですが、メーカーの開発者は365日、一日中考えてるんですから」と笑われました。
文具祭りの翌日発売された雑誌には、私の写真は載っていませんでした。
私とメーカーが非常に似たことを思いつき、雑誌の発売日と新商品の発売時期が重なる「不運な偶然」だけど、365日、1日中商品開発してるんだったら、ユーザーの私と同レベルではダメでしょう。
とはいえ、この商品は機能的なので、A6のキャリングポーチは愛用中。
今度は私を驚かせるような商品を作ってくださいよね。
ラベル:アイデア