この本にも『企画立案に王道はありません。一つでも多く企画書を書く、これが上達への道です』などと、冒頭に恐ろしげな言葉が載っている。
著者は株式会社創造開発研究所の社長。
CI戦略や発想法、宣伝やPRのスペシャリストだ。
『社会人1年目からできる!』とタイトルにある通り、この本は企画立案の63のコツについて、初心者にも分かりやすく解説されている。
過去の企画書をチェックし、フィールドワークし、社内の人に積極的に話しかけ、交流会に頻繁に参加し、「活字情報」「映像情報(テレビ)」「電波情報(ラジオ)」「IT情報」「ライブ情報(現場やイベント)」などを常にチェックし、SNSでアンケートをとる……情報収集だけでも大変だ。
さらに、問題意識を高める技法や、新たな切り口を見つける方法、企画を提案先に魅力的に伝えるテクニック……
読んでいるうちに息苦しくなってきた。
企画って、こんなに大変な作業だったのか。
確かに、この本を参考にすれば、かなり精度が高い企画書を作成できる。
しかし、「優れた企画」が「通る企画」とは限らない。
最近、私は相手が「何かよい企画があれば」と言った場合、婉曲に断るようにしている。
本当に企画が必要な場合は「○○について、△△のような企画がほしい」と具体的な要望があるものなのだ。
「通る企画」を作るのが目的ならば、マーケティングや新しい着想よりも、企画の持ち込み先の内情の把握の方が重要なのだが、この本には、それがほとんど書かれていない。
新社会人、または社会人経験が短い企画職の人がテクニックだけに頼って、いたずらに挫折ばかりしないかと心配だ。
新社会人よりは、ある程度企画の経験を積んで、「もっといい企画書を書きたい」と願っている人の方が、この本を生かせるのではないかと思う。
『社会人1年目からできる!企画立案の教科書』 齊藤 誠 著 阪急コミュニケーションズ
ラベル:アイデア
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