新着記事

2013年08月10日

西の武祭(前編) 謎の流派

「7月の西日本古武道大会でお目にかかりましょう」



FACEBOOKの「友達」で、備後の武人こと佐分利流槍術の使い手「@いっきょう」さんからからメッセージをいただきました。

2013年7月15日。
場所は大阪・阿倍野スポーツセンター。

前回の姫路……第36回日本古武道演武大会では、結局「@いっきょう」さんにお目にかかることができなかったしなあ。
それに今回は、もっと演武の写真も撮らなければ。

古武道大会前日、合気道の稽古の時に、iPhoneで道場の様子を試し撮りしようして、カメラボタンを押したら……

突然画面が真っ暗に。

しまった! 
壊れたのか! 

「リセットしたら復旧できますよ」

そうアドバイスをくださったのは、最近ビジターで稽古に来られている有段者の男性。
元大東流合気柔術家です。

「西日本古武道大会に行くんですか。いいですね。僕は今年は仕事で行けないんだけど。あの大会は、各流派の宗家が演武されるから、ぜひ見ておくべきですよ」

古武道の世界では結構有名な大会らしいですね。

ネット検索してみると、主催者は大阪の円心流居合据物剣法。
古流の一流派が主催しているのに18流派が演武するらしい。
それにしても大阪府・大阪市後援とはいえ、「入場無料」とは太っ腹だな。
日本武道館主催の日本古武道演武大会は入場料500円とってたのに。

……うーむ。謎の多い演武大会だ。

西日本古武道大会の話をすると、夫は目を細めました。

「据物いうことは藁斬りか。懐かしいな。俺も大東流でやったけど、あれは難しいで。めったに見られるもんやないから、見といた方がええ」

藁斬り……藁を巻いた棒を立てて、それを真剣で斬る技法です。
現在では藁が入手しにくくなったので、1畳分の畳表を巻いて紐で縛ったものを「巻き藁」と呼んでいるそうですが、精神を集中して刃筋を通さなければ、たとえ真剣であっても斬ることができないのです。

青竹を芯に入れた巻き藁を斬れれば、人間の首を落とせるというのも怖い話ですが、もっと恐ろしいのは据物斬りの頂点に立つ究極の剣技「兜割り」。
兜台の上に置いた鉄兜を斬るのですが、失敗すれば刀が折れます。

剣術家の榊原鍵吉氏が「兜割り」に成功した明治20年の「天覧兜割り」が有名ですが、『図説・日本武器集成(学研)』によると、国際抜刀道試斬連盟・龍星剣宗家の猿田光廣氏も「兜割り」に挑戦、真剣で鋼4枚重ねの兜に挑み、斬り込みを入れることに成功しています。
しかも、刀(市原一龍子長光)には刃こぼれ一つない。

『気迫をこめて刃筋を通して斬れば、畳表でも鋼の兜でも同じように斬れる』

そう猿田光廣氏は語っています。
恐るべし。据物斬り。

さて、西日本古武道大会当日。
地下鉄に乗って大阪市内へ出向きました。

「写真撮影は最前列でないと無理です。開会1時間以上前でないと場所がとれません」

有段者のアドバイスに従って、開会より2時間前に現地に到着。

阿倍野スポーツセンターは、小学校の体育館のような建物で、畳敷きではありません。
羽織袴姿の剣術家が二人、足さばきをして床のすべり具合を確かめています。
姫路の日本古武道演武大会の時は、つるつるの床の上で足袋を履いて演武するはめになって、苦労した演武者が多かったので、事前に足元を確かめておきたいのでしょう。

入場料は無料ですが、パンフレットは300円。
37ページで写真満載のも立派なもので、巻末にはたくさんの広告が。
道場や武道具店をはじめ、葬儀社だの焼肉屋だのスナックだの鍼灸院だの寿司屋だの運送屋だの。
ものすごい数のスポンサーがついてますね。

受付ではパンフレットの他に弁当やDVDを売ってるし、武道具屋の明倫産業の出店には、羽織袴姿のの剣術家や柔術家が集まって、居合刀や道着や刀の鍔を熱心に見ています。

なるほど。入場料は無料だけど、いろんな仕掛けで元を取る気だな。
さすが商都大阪。

さて、写真を撮るのには、どの位置がいいかな……
周りを見渡しました。

演武場を四方から囲んでいるのは、観覧用の古いパイプ椅子の群れ。
会場の阿倍野スポーツセンターは設備も備品も古いんです。
でも、演武がよければいいや。

まだ人もまばらな体育館の中を歩いて、写真を撮りやすい位置を探します。
 
演武の写真を撮るのに一番いい位置は来賓席の後ろ。
演武者は来賓を「正面」にする形で演武するからです。
その次が来賓席から向かって左側。
来賓席から向かって右側の演武者が「取り(技をかける側)」になることが多いので、「取り」が攻撃する迫力のある写真が撮れます。

しかし、今回は不利だ。
来賓席の後ろには観覧席がない。
来賓席から向かって左側のスペースは、弁当とパンフレットとDVDの売店が占拠している。
来賓席から向かって右側の席には、演武関係者が座っているし、一般の観覧者は来賓席の反対側に座るしかないけど。
演武者からは、かなり距離が離れている。

「観客に写真なんぞ撮らせてなるものか」という、悪意すら感じられる座席配置です。 

結局、来賓席の反対側で写真を撮ることにして、最前列の椅子に座りました。

「あそこは、パイプ椅子だから長時間座るのはきついですよ」

FACEBOOKの「友達」で、関口新心流柔術の泉州の武人からアドバイスがあったので、ストールを畳んで座布団代わりに敷くことにしてるけど。

最前列は、すでに望遠レンズつきのカメラを持った人たちが陣取りはじめていました。

「もし、iPhoneが動かなくなったら、リセットするといいですよ。ただし、再起動まで3分ほどかかるから、その間の演武は撮れません。デジカメがあるといいんだけど」

有段者からアドバイスがありましたが、iPhoneのカメラが不調になったのは、昨日の夕方だったから、デジカメを買いに行く暇がなかったんです。

せめて「@いっきょう」さんの演武だけでも撮らなければ。
FACEBOOKの武人の「友達」が楽しみにしているし。

それにしても、「@いっきょう」さん、どこにいるんだろう。
こちらは撮影で忙しくて身動きが取れなさそうだから、うまく見つけてもらえればいいけれど。

そうこうしているうちに第19回西日本古武道大会開会式がはじまりました。
国歌斉唱、大会会長の衆議院議員(左藤章氏の到着が遅れ、代理で妻がスピーチ)、日本古武道協会会長や大会委員長の円心流居合据物剣法宗家の挨拶。

開会式が終わると、宗家だけが集まって記念撮影。
古流の一団体でありながら、関東から九州まで、トップレベルの演武者を招く円心流居合据物剣法の力。
恐るべし。

最初の琉球王家秘伝本部御殿手の演武が始まる直前、予想外のアナウンスが流れました。

「本日は大会スケジュールを変更し、休憩時間をなしにします」

うわっ!
18流派21団体の演武、4時間ノンストップか!

……次回に続く……
ラベル:
posted by ゆか at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
にほんブログ村ランキング
こちらには『ventus』で書かれている内容と同じ分野のブログがたくさんあります。
もし、よろしければご覧ください。

武術・武道ブログランキング

ステーショナリー雑貨ブログランキング