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2013年08月13日

西の武祭(後編) 古流の粋

4時間ノンストップの過酷な演武大会がスタートしました。



パンとお茶を持ってきてたので食事の心配はないけど、ハードなことになったなあ。

姫路の日本古武道演武大会で演武した団体も登場しました。

サイや棒、櫂に似た木刀など華麗な武器技を見せる「琉球王家秘伝本部御殿手(りゅうきゅうおうけひでんもとぶうどうんでぃ)」
力で押し込む技が多い長崎の「竹生島流棒術」。
姫路藩主に仕えた「本體楊心流柔術」の堂々とした演武。
茨城県ひたちなか市無形文化財、「無比無敵杖術」の力強い演武。
薙刀を打ち落とされても素手で相手の刀を止め、短刀でとどめを刺す「直心影流薙刀術」

艶やかな着物姿の若い女性が果敢に敵に挑む、広島の「筑後柳河立花藩御禁止流楊心流薙刀術(ちくごやながわたちばなはんおとめりゅうようしんりゅうなぎなたじゅつ)」。
烏帽子直垂方の美しい女性たちが矢を射る「小笠原流弓馬術」。
身を低くして、刀を鞘を引きながら闇の中の敵を探り、斬りつける「初實剣理方一流甲冑抜刀術(しょじつけんりかたいちりゅうかっちゅうばっとうじゅつ)」。
 
それにしても撮影がうまくいかない。
演武が来賓席の目の前で行われていて、観客席から距離があるし、キャスターつき三脚で移動しながら演武を撮影しているカメラマンが邪魔になって、写真が撮りにくい。

おそらく、カメラマンが撮影してる画像が、今年の演武大会のDVDとして売り出されるのでしょう。
いろんな角度から写しているので、ちょっと興味がありますね。
それに比べてこちらは、iPhoneカメラが不具合を起さないか、はらはらしながらの撮影で不利だなあ。
ちゃんとしたカメラを買わなきゃ。

そして、「@いっきょう」さんが演武される「佐分利流槍術」の勇壮な演武。
黒と赤の鎧武者のうち、赤い鎧武者が「@いっきょう」さんだということはわかってるけど、あまりにも距離が遠すぎて声をかけられない。

なんとか、がんばって撮影したけど、姫路の時ほど出来のいい写真が撮れませんでした。
FACEBOOKに転送したら、「イイね!」をたくさんいただいたけど。

「後姿だけ拝見しました。また、お目にかかれるチャンスがあればいいですね」と「@いっきょう」さんからのメッセージがありました。
休憩なしの演武で、観客席にぎっしりと並んだパイプ椅子には、観客が腰掛けたままで誰も動かない。
こちらが席を立つこともできないし、「@いっきょう」さんも、観客席に近づけない。

……うーむ。残念。
またの機会のお目にかかるとしましょう。

さて、今回、初めて演武を見ることができた流派がいくつかありました。

まず、西日本古武道大会を主催する「円心流居合据物剣法」。
戦国時代の組討から現れた武術で、居合道と違って突き技が多いのが特徴。
東大阪・都島・京都・阿倍野・阪南・本部の門下生が、支部ごとに演武するのですが、大勢の男性や女性や少年が、鋭い気合とともに次々と巻き藁を一刀両断していく姿は壮観でした。 
 
二代目の小野次郎右衛門忠明が、徳川秀忠の指南役になったことで有名な「小野派一刀流剣術」。
相手の太刀のおこりを見抜いて、自ら進んで一拍子で打つ「切落し」は剣道に似た雰囲気の技。

当身技、蹴り技の多い水戸の「為我流派勝新流柔術(いがりゅうはかつしんりゅうじゅうじゅつ)」。
戦国時代の野外の戦いから発祥し、動きがコンパクトな「鐘捲流抜刀術(かねまきりゅうばっとうじゅつ)」。

『突けば槍 薙げば薙刀 引けば鎌とにもかくにも外れあらまし』と伝えられるように、突くだけでなく、巻き落とす、切り落とす、打ち落とす、摺り込む、叩き落とすなど変幻自在に長槍を使う「宝蔵院流高田派槍術」。

千葉県無形文化財の「天真正伝香取神道流剣術」は戦国時代の流派。
面、胴、小手、喉を狙う剣道とは違って、鎧の弱点の首、脇、小手の裏、腰の直ぐ上、内股などを狙います。

気力胆力を練ることを重視する「渋川流柔術」の「棒抜け」演武もすごかった。
床の寝転んだ取り(技をかける側)の左右に六尺棒を持った受け(技をかけられる側)が立ち、2本の棒で両側から取りの首をおさえる。
しかし、すばやく体を回転させた取りは、受けの頭を蹴って脱出。
もう一人の受けを関節技で極めました。
 
特に珍しかったのが「二刀神影流鎖鎌術」。
宮本武蔵玄信から二天一流を継いだ新免弁助信森の開いた「神免二刀神影流」から出たもので、二丁の鎌を使います。
普通、鎖鎌は片手に鎌、空いた手に鎖を持つものですが、この流派は両手に鎌を持つわけです。

陽の鎌(右)の先端の長さ四尺の鎖分銅で、相手の剣を巻き落としたり、顔面を狙ったりして、鎖分銅のついていない陰の鎌(左)でとどめを刺す。
分銅が使えない間合いでは二丁鎌で対戦する。

陽の鎌についた鎖分銅を、片手で巧みに振り回して相手を牽制しながら、陰の鎌で相手を制する隙をうかがう。
バランスをとるのが非常に難しい武術です。

そして、会津藩御留技の大東流合気道柔術……合気道の源流にあたる古武道です。

私が姫路の日本古武道演武大会で見たのは、東京に本部のある「大東流合気柔術」。
今回演武したのは、夫が学んだ「大東流合気柔術琢磨会」。
東京の大東流合気柔術は、武田惣角氏のご子息の武田時宗氏の系統の会派ですが、琢磨会は大阪で武田惣角氏から免許皆伝を受けた久琢磨氏が興した会派。
 
東京の大東流合気柔術に比べて、技の端々に合気道に円に近い動きが見られますが、合気道にくらべて円は小さく動きも早い。
合気道開祖の植芝盛平翁大先生が、合気道を興す前、大阪で久琢磨氏に大東流合気柔術の指導していたということも関係あるのかもしれません。

「大東流は、会派が違えば流派が違うのと同じぐらい、技が違いますよ」

出稽古先に来ている元大東流合気柔術琢磨会の有段者の言葉に納得できました。

しかし、合気道で「立ち技片手取り三教」という固め技を極めながら、相手の膝裏を蹴って倒したり、相手の喉を押さえて肘打ちをしたり、合気道の感覚では考えられない技が出てくるあたりは、やっぱり「現代武道」とは違う。

「筑後柳河立花藩御禁止流楊心流薙刀術」の若い女性が、「薙刀のとどめの刺し方」として、頚動脈を切る、腹から上に斬り上げる、右からの袈裟斬りなどを解説つきで実演して見せたりする古武道は「武術」、人を殺すための技術にほかならないのです。

古流の武人たちは、そういう恐ろしい技術を習得している一方で、修学旅行で来日したアメリカの高校生たちのために、演武装束のままで一緒に記念撮影するサービス精神もありました。

「一世一代の晴れ舞台」的な日本武道館主催の日本古武道演武大会とは違い、演武を終えて退場する演武者に、観客席から同門と思しき人から「お疲れ様!」の声をかかったりする、気さくな感じの演武会でしたが、演武そのものはすばらしかった。

弁当と飲み物とクッションと高性能カメラは必要ですが、無料で日本の伝統武術の粋を見学できる西日本古武道大会。
おすすめです。
ラベル:柔術 剣術
posted by ゆか at 10:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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