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2007年03月31日

『レアメタル資源争奪戦』

「レアメタル(希少金属)」……一瞬、宝石店店頭の『不要なアクセサリー引き取ります。本日の相場 金1g○○○○円・プラチナ1g○○○○円』の張り紙を連想してしまった。

「レアメタル」……独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が定義した、「存在が稀な金属、抽出が経済的・技術的に難しい金属」の31鉱種・47種類の希少金属。

元素記号つきの一覧表をみると、プラチナはレアメタルだが、金はレアメタルではないらしい。

レアメタルは、ステンレスの材料のニッケル。
携帯電話、パソコンのリチウムイオン電池の材料コバルト。
デジカメのレンズの素材タンタルなどをはじめ、半導体、コンデンサー、光ファイバーなどの素材として、ハイテク産業にはなくてはならないもの。

日本は世界トップの加工技術を持っているが、材料のレアメタルを輸入に頼る不安定な立場。

例えば、液晶画面に必要なインジウムは、中国が世界シェア80%。
だが、インジウムを精錬する時に出るカドミウムが河川に流入。
深刻な環境汚染を引き起こし、やむなく閉鎖する精錬工場が続出。
生産量が安定せず、輸入する側は苦労する。

そして今、中国、ロシアなどの資源国は、自国の経済発展でレアメタルが必要になり、資源の輸出を抑制する方向に向かい始めている。
ますます脅かされる日本のハイテク産業。

著者は、レアメタル専門商社アドバンストマテリアルジャパン社長。

世界各国の資源政策、レアメタル取引相場の仕組みなども、素人にもわかりやすく解説している。
日本の「国策・国益を守る」視点の外交政策は、世界各国と比べて、かなり遅れているようだ。

日本の産業に絶対に必要なレアメタル。

その安定供給のために、海外鉱山開発への積極的投資。
国内鉱山の再開発。
備蓄。
代替材料の研究。
リサイクル技術開発を国策として推進すべきと説く。

著者は『現代の山師』を自称しているが、立派な『国士』だと私は思う。

『レアメタル資源争奪戦』 中村繁夫 著 日刊工業新聞社
ラベル:レアメタル
posted by ゆか at 11:31| Comment(1) | TrackBack(1) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日、わけあって青銅の歴史について少々調べましたが・・・・・太古のオリエントでもそういう資源争奪戦が繰り広げられていたかもしれませんね。この本、おもしろそうです。
Posted by 摂津 at 2008年10月06日 22:30
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