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2013年10月26日

『(株)貧困大国アメリカ』

2013年10月1日〜16日にかけて、アメリカの政府機関が17年ぶりに一部閉鎖された。


民主党が多数派をしめる上院と、共和党が多数派の下院との間でオバマケア(包括的な医療保険改革)を巡る対立が続き、10月1日から始まる2014年度予算が通過できなかったためだ。

デフォルトが噂されるほどの累積赤字、デトロイト市の破綻。
アメリカではとんでもないことが起こっている……

著者は『ルポ・貧困大国アメリカ』シリーズで知られるジャーナリスト。
この本では、アメリカで進行している恐るべき事態が描かれている。

今、アメリカでは多国籍企業が実権を握っている。
潤沢な資金力で、食料の生産、流通、医療、石油、金融、メディアと、あらゆるものを飲み込み、政治家や自治体さえも自在に動かし、自分たちに都合のいい法改正を行っている。

食品会社に巧妙にからめとられ、遺伝子組み替え作物や化学薬品漬けの家畜を量産せざるを得ない農家。
食品の安全を管理する機関は企業に買収され、国民を守る者はいない。
劣悪な環境で無給に近い賃金で働かされる囚人たち。
企業と癒着した政治家によって民間に切り売りされる行政サービス。

アメリカ向けの安い輸入食品を作るために、再生産できない作物の種と農薬を押しつけられ、種子代と農薬代を払い続ける発展途上国の農民たち。

多国籍企業にとって、すべては「ビジネス」だ。
人の命は軽い。

『TPP交渉一つとっても、日本を含め各国政府が交渉を進めている相手が、かつてのような国家としてのアメリカだと思わない方がいい。今政府の後ろにいるのは、もっとずっと大きな力を持った、顔の見えない集団なのです』

通商交渉委員会のスタッフディレクター、ジェイムス・ホワイト氏の言葉は重い。

日本では「TPPに参加しても、米、麦、乳製品、牛肉・豚肉、甘味資源は、例外なき関税撤廃にしない」という公約で自民党が大勝したのだが、すでに公約を覆す動きが出てきている。
心配だ。

『(株)貧困大国アメリカ』 堤未果 著 岩波新書
ラベル:TPP アメリカ
posted by ゆか at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みコラム | 更新情報をチェックする
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