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2007年04月07日

レポートパッドのある生活

それを初めて見たのは、去年の春。 
『BUN2(ブンツー、「文具通信」の略称)』の新製品特集。
郊外のショッピングセンターの文具店備えつけのフリーペーパーです。

その名は『ZeitVektor(ツァイトベクター)』。

ドイツ語の「時間(Zeit)」と「方向性(Vektor)」を意味する造語。
レイメイ藤井が発売。

『ビジネスシーンにもさりげなく上質な雰囲気を求めるビジネス・パーソンのためのブランド』のキャッチフレーズで、レポートパッド(A4・A5)、クリップファイル、ドキュメントファイル、メモパッド、レポート用紙、メモ用紙などをラインアップ。

エグゼクティブ向けのアメリカ再生皮革製『レザーライン』。
キャリアウーマン向けでカラフルなイタリア合皮製『シンセチックレザーライン』。
ヤングビジネスマン向けの『ペーパークロスライン』……

ここは、もちろんレザーラインですね。

私は10年ほど製本を習って、革の上製本なども作っていたので、どうも「革小物」に弱い。

とにかく、この『ツァイトベクター』という響きのよさに、私はまいってしまいました。
もし、これが英語の『タイムベクトル』だったら、素通りしていたでしょう。

この中で、私の目をひきつけたのは、レザーラインのレポートパッド。

A4ファイルのリングや閉じ具のない薄いものを、想像していただくとわかりやすいですね。

横開きで、ペンホルダーつき。
左右両方にポケットがついていて、右側にレポート用紙を差し込み、左のポケットにA4の書類や筆記用ペンなど、必要最少限のものを入れて持ち歩ける。
しかも、立ったままレポート用紙にメモ書きすることも可能。

会議や社外の打ち合わせの時に使うと、かっこいい……うーむ。ほしい。

さて、この年明けから、私は「そろそろ、ツァイトベクターを手に入れるか」と、あちらこちらの店を探し回ったのですが、どこでも品切れなのですね。
特にレザーラインの黒のレポートパッドは、見当たらない。
6825円の手頃な値段が、新社会人へのギフト好適品として、受け入れられたのでしょうか?

しかたがないので、東急ハンズに取り寄せを依頼したのですが……

「なんか、ハンズから、電話かかっとったで。なんやらベクターは、品切れで、4月20日以降入荷予定やけど、はっきりした日は、わからんらしいで」

しまった! 
私の留守中にかかったハンズからの電話を、夫がとってしまいました。

「ベクターってなんや?」
「ツァイトベクターだよ。レポートパッド。レポート用紙を挟むファイルのようなもんや」

「なんやそれ? なんでレポート用紙、そのまま持ち歩いとったら、あかんねん?」

私は返答に窮しました。
「ほしいから」では叱られそうだ。
「いずれ、打ち合わせに必要だから」では説得力が弱いし。

レイメイ藤井サイトの『ツァイトベクター』の映像を見せて、説明しようかと一瞬思いましたが、「あほっ! こんなもん買うてどないすんねん! ちょっと、そこへ座れ!」と正座させられて、説教されそうな気がしたので、やめました。

「まあ、品切れやったら、しゃあないわ」

私がつとめて明るく言うと、夫は興味を失ったようです。やれやれ。

よく考えると、レポートパッドが実際に使われている光景を、まだ、私も見たことがないのです。
私の職種、経理では見たことないし、営業の人が使っているのも見たことない。

今思うと、これを見たのは洋画でした。
やり手のビジネスマンが、机の上に広げた革のレポートパッド。
上等なペンで、さらさらと会議の内容をメモする。
または、切れ者の技術者が、事故現場で、紙のレポートパッドを抱えて、立ったままレポート用紙にイラストを描き込む……

つまり日本企業には、まだなじみのない文具。
現在、これを駆使しているのは、企画系の業種、または技術系。
移動が多いビジネスマンだと思います。

ところで、この『レポートパッド』の名称がややこしいですね。通常「レポートパッド」は、「上部が糊で綴じられたレポート用紙の束」。
「レポート用紙を束にして、表紙をつけて、一枚一枚の紙を守る」という意味では、束にした状態がレポートパッド。

一方、英和辞典では『パッド:衝撃を避けるための当てもの』。
「レポート用紙の束を衝撃から守るカバー」という意味では、レイメイ藤井のネーミング『レポートパッド』は間違いではないのでしょうが、『レポートパッドホルダー』の方が正確かもしれない。

しかし、どうしても手に入らない『ツァイトベクター』。
……どうやら縁がないらしい……

別のレポートパッドホルダーを探すことにしました。

銀座・伊東屋は、アメリカ製レポート用紙『リーガルパッド』と、それを入れて持ち歩くための、『リーガルパッドホルダー(1575円)』を売り出していますが……
リーガルパッドの黄色地にブルーの横罫は、横罫線に合わせて字を書かないといけないような感じがして、なんだか苦手。

今、使っているのは、エトランジェ・ディ・コスタリカのA4レポート用紙。5ミリ方眼罫。
薄いグレーの罫線は、それを使って表を書くこともできるし、無視して自由に書いてもいい。
でも、完全に無地の紙だと、なんとなく書きにくい。

結局、考えた末、『ツァイトベクター・レポートパッド』より高い『ソメス・ライティングパッド』を買うことにしました。

ソメスサドル社は1964年創業。
北海道の馬具メーカー。
欧米にひけをとらない上質の馬具を生産。
最近では、良質のバッグや革小物も売り出しているのです。

私は、神戸の老舗、ナガサワ文具センターのネットショップで、これを購入。
ナガサワは革小物に力を入れていて、オリジナルのレポートパッドもありますが、あいにく品切れ。

ソメスは「レポートパッド」と同じものを、「ライティングパッド」と呼んでいます。
ブラック・ダークグリーン・ワイン・ライトブラウンと、渋い色揃えでしたが……ここはブラックですね。
お値段は12600円。
夫が知ったら激怒しそうだ。

サービスで、横罫のレポート用紙が1冊ついていましたが、これは使いにくいので、実家に譲ることにして……

ライティングパッドの控えめなツヤ、堅牢な造りは、長期間使えそうで期待が持てます。

実は、今後の私の人生、色々なことで「自分の向かう方向は正しいのか?」「自分のやっている方法でいいのか?」を自問自答しながら進むことが多そうなのです。
そんな時、威力を発揮するのが、「A4のレポート用紙に、自由に思ったことを書きながら、考えをまとめる」行為。
すでに、この方法で、何度か危機を乗り越えました。

レポート用紙は、これからの私の生活で、非常に重要になる文具だと考えていますから。
まあ、今回は、一見無茶な買い物でしたが。

そのうち成果が出る(?)と思います。
ラベル:レポート
posted by ゆか at 14:38| Comment(0) | TrackBack(1) | 文具コラム | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2008-04-03 00:13
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