「いえ、私が社会人になった頃は円高不況の真っ最中で。就職浪人して苦労しました」
「は?」
……最近よくある会話だ。
昭和40年生まれで48歳の私が社会人になった年は円高不況。
昭和46年生まれ、42歳の弟が社会に出た時には、すでに就職氷河期になっていた。
バブル期の求人超売り手市場の恩恵を受けた「学年」は、ごく一握りにすぎない。
しかも、私は「1960年代生まれ」で「新人類世代」。
弟は「1970年代生まれ」で「団塊ジュニア世代」だが、父母は「団塊の世代」ではない。
なんだか変だ……。
この本は、ジェイ・エム・アール生活総合研究所代表取締役社長の著者が、豊富なデータを元に「正しいジェネレーショノミクス(世代論による経済分析)」を考察したもの。
著者は、世代区分の基準を、「年齢」ではなく「20年区分のライフサイクル」と「20年ごとの社会的節目の年」で分類。
ライフサイクルは4世代。
0〜19歳の「被扶養者」。
20〜39歳の「社会の活動役」。
40〜59歳の「指導役」。
60歳以上の「助言者」で、「活動役」にあたる世代の価値観によって経済の動向が変わり、次の世代も影響を受ける。
「社会的節目」の分類では、1955年以前生まれの「戦後世代(第9世代)」。
1956年〜1975年生まれの「成長世代(第10世代)」。
1976年〜1995年生まれの「転換世代(第11世代)」。
1996年以降に生まれた「第12世代」。
この分類は納得がいく。
「社会の活動役」が、消費好きの「成長世代」から消費嫌いの「転換世代」への移行したため、物が売れないのだが。
データによると「転換世代」は他の世代と同様に勤勉で、「やりがい」「短期間での成果」「賞賛」を求める傾向は他の世代より強い。
「マイペースなゆとり世代」は虚像なのだ。
これからのビジネスは「賞賛」が鍵を握る……そんな気がした。
『ジェネレーショノミクス』 松田久一著 東洋経済新報社
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