さまざまな交渉術を駆使して、いつの間にか自分の思うようにことを運ぶ。
力ずくで相手を従わせる「鈍い人」とは違うのだ。
著者は元外務省主任分析官で、対ロシア外交の最前線で活躍。
背任と偽計業務妨害容疑で512日拘留された壮絶な経験の持ち主。
有罪確定後も、作家として多方面で活躍する著者の「強さ」は、どこからくるのだろう。
著者は自分の経験をひもときながら、これから日本が直面する外交的・経済的危機の時代に、個人が生き残るための心得を8つあげている。
『怒らない』『びびらない』『飾らない』『侮らない』『断らない』『お金に振り回されない』『あきらめない』『先送りにしない』
私にとっては『怒らない』と『断らない』が難しい。
確かに、怒りの感情を客観視することで、やや冷静になれるが、怒りそのものが消えるわけではない。
仕事はともかく、「人付き合いを断らない」。
これも難しい。
さまざまなタイプの人と付き合うと、発想も広がり、チャンスも増えるのはわかっていても、中には「利益を独り占めし、面白半分に相手を傷つけるタイプの人」もいる。
そんな人とは関わりたくないのだ。
今後も付き合うべき人間は慎重に選び、違法性のある仕事は、どんなに報酬が高くても引き受けない。
著者のアドバイスに逆らって申し訳ないと思っていたら、「絶対断らなければいけないケース」も載っていた。
それは「自分の存在意義に直接関わる部分、自分の良心に関わる部分に反すること」。
ということは、「非合法な仕事」「私利私欲のために他人を傷つける人との関わり」は断ってもいいのか。
著者は国際社会の最前線で壮烈な体験をしてきた人だが、この本に書かれていることは、私たちでも実践できることばかり。
「これからの日本」で生き抜くためにお勧めしたい本。
『人に強くなる極意』 佐藤優 著 青春出版社
ラベル:ロシア
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