「まっすぐに振り下ろすだけ?」
「切っ先ブレずに振り下ろすんは難しいねんぞ。素振りは武道の基礎やから、振ってるだけでも違うわ。岩間刀は合気道の素振りのために作られた形やからな。とりあえず、木刀振っとったら、体力落とさずにすむわ」
「岩間の木刀」は、合気道開祖植芝盛平翁の高弟で、開祖の杖と剣の型を継承した岩間道場の故齋藤守弘師範が使われていた木刀。
峰形は「平峰」、柄頭は「平頭」、切っ先を切り落とされた形で、剣道用木刀のような鍔を固定するための溝はありません。
形状は「ちょっと反った棒」。
実物を初めて見たのは出稽古先。
先生の昇段祝いに、年配の有段者が京都の武道具店で見立ててきたものでした。
出稽古先では「体の中心を意識する稽古」として素振りがあったので、自前の木刀は必須。
先生の木刀を借りて振らせてもらったら、すごく振り心地がよかった。
「自前の木刀は一本だけじゃすまへんで。自分の技量が上がるにつれて、ほしい木刀のレベルが上がっていくからな。とにかく、その時、ほんまに自分がほしいと思ったもん、買うこっちゃな」
武道13段の夫のアドバイスに背中を押されて、初めて買う木刀としては身分不相応な白樫の「岩間型木刀」を買ってみました。
「しかし、いきなり白樫の岩間刀を買うとは、無茶をしましたね」
出稽古先にビジターで来られていた、元大東流合気柔術家の有段者に呆れられました。
「軽い赤樫からはじめればいいのに」
私が木刀を買った合気道用具専門店『星道ショップ』によると、白樫・岩間流大刀は730g。
女性が使う木刀としては重いのです。
「それを完璧に使いこなせるようになれば、3段ぐらいの実力になってるでしょうね」
そう苦笑されましたが。
自宅マンションの駐車場で、夫の言うように「ゆっくり」と「前後斬り」を20回繰り返すと……
もう腕の筋肉が痛みはじめました。
実は「勢いよくまっすぐに振り下ろす」よりも「ゆっくりと時間をかけて、まっすぐに振り下ろす」方が難しい。
「しんどくなったところで止める。ムキになって振ってたら肩痛めるからな」
夫のアドバイス通り、そこで素振りを止めました。
……悔しいなあ。
健康な体がほしい。
もっと色々なことができるのになあ。
木刀に彫られた銘『科戸ノ風』をながめました。
この木刀は所属道場では使わせてもらえないだろうな。
所属道場に置いてあるのは、「切っ先のついた木刀」。
スタンダードな「普及型(剣峯・平丸頭・大切先)」と呼ばれる木刀。
たぶん、所属道場での稽古では、所属道場の木刀を使わなければならないでしょう。
在宅介護のために所属道場に通えなくなり、所属道場を長期休会扱い・出稽古先あずかりという特殊な形で5年稽古して……
その間、所属道場では経験できなかったことを多く経験してきました。
先生の持論「人と向き合う技の稽古」「素振りを中心とする地味な基礎の稽古」。
さまざまなビジターの有段者との稽古でも、いろんなことを学びました。
特に元大東流合気柔術家の有段者から教わった「経絡とツボ」の重要性と、柔術の「殺法」「活法」の経絡のとり方。
経絡の勉強をはじめて3ヶ月で「手の太陰肺経」を覚えて持病の喘息発作は少なくなったのですが、自律神経失調症の経絡は複雑で、完全にマスターするのには時間がかかりそうです。
元々、持病の喘息に効く丹田呼吸法の習得のために合気道をはじめたので、「武道と健康」「自分の健康によく、相手の健康にもよい稽古」が私のテーマですが。
「10年たっても初段のままなんですか?」と言った男性の所属道場は、「頻繁に稽古して短期間で昇段するべき」という方針の道場だったのかもしれません。
昇段審査規定上、回り道の5年間を過ごしてしまったわけですが、評価するのは私自身。
ただ、この5年間で私が変わったように、所属道場の方針も変わっているかもしれない。
とりあえず、スポーツ教室の個人参加期間の稽古に参加して、同門の皆さんの様子をみて、「健康によい稽古?そんな稽古は許さん!」となった場合は、他の道場への移籍も覚悟しなければならないかもしれない。
「岩間刀・科戸ノ風」で素振りができるところが見つかるといいんですが。
ラベル:合気道
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時々ブログを楽しく拝見させていただいております。
ご存知かも分りませんが、島村様のお住まいの隣町(かな?)の吹田の天之武産塾合氣道々場(JR吹田徒歩2分)では岩間の木刀を存分に振れますよ。
岩間スタイルの道場なので合気会の技と少し違うと思いますが武器技も重視させていると思います。
指導員の先生方とは講習会で時々ご一緒させていただいております。
ご参考まで。