これまでの研究で効率よくファイリングできてはいるが、問題は処分だ。
仕事上「過去の経験」が生きることも多いので、個人情報の入っていない資料類の処分は、迷ったあげく保管中。
しかも保管した書類はどんどん増える。
このままではいけない。
この本の著者は不動産コンサルタント。
実は不動産業は書類が多い。
お役所がらみ、法律がらみで署名捺印つきの保管が必要な書類が多く、当面ペーパーレスにならない世界では、どんな整理術が使われているのだろうか。
『いま目の前に「問題」があって、「対策」するということです』
『解決までいかなくてもかまいません』
第1章の言葉に安心する。
表題の通りだ。
確かに会社の上司は「問題を解決しなくてもよい」とは絶対に言わない。
この本は書類の処分術を中心に、書類整理に便利な道具や、デジタルツールとアナログツールの連携、自分の頭の中の整理法まで書かれているが、事細かに指示が書かれている一般の整理術本とは違い、ざっくりとしていて気楽に読める。
「会社(役所)から書類を配られたら上司に捨てる期限の言質をとる」
「書類はできるかぎり個人で持たず、共有スペースで保管する」
「可能ならば書類をデジタル化して共有保管する」
「メールは全部とっておく」
「スケジュール管理に手帳は必須」
ざっくりしているものの勘所は押さえている。
祖母も母もアパート経営をしていたので事情はわかるのだが、不動産業は複雑怪奇な世界だ。
「問題の根本的解決」よりも「的確な対策」の方が重要になる。
そんな世界にいる著者だから、究極の頭の中のリセット法として『その場から逃げてしまう』などと恐ろしい本音を書けたのだろう。
実行したら絶対に上司が怒るから、コーヒーブレイクやトイレに行く程度の穏便な手段がいいと思う。
それほど気負わずに、机やパソコンや頭の中をすっきりさせたい人にはお勧めの本だ。
『会社では教えてくれない!頭のいい片づけ術 捨てる術』 本田尚也 著 ぱる出版
ラベル:整理術
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