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2014年07月22日

迷走(後編) 壁

さて、5年ぶりの所属道場での稽古です。

あえて時間を遅らせて行きました。
稽古前に全員で行なう柔軟体操があるのですが、自分のペースで十分に体をほぐしたかったので。
左肩甲骨の真ん中の表層から一層下の筋肉が固まっている感じがするし、首の左側の筋肉も微妙に引きつってる。
この部分は特によくほぐさないと。

2月に倒れて以来、自分の筋肉や骨の状態に妙に敏感になってしまったのです。
もう少し自分で調整できる技術がほしい。
経絡も勉強しなきゃいけないけど、固まった筋肉をほぐす「腱引き」という柔術由来の技術も気になる。

柔術は合気道の先祖にあたる武術。
この武術の応急処置「ほねつぎ」の技術が、柔道整復師や整体師の技術へと発展していくのですが、なぜか合気道には、この技術が伝わっておらず、独学で勉強するはめになっているのです。

左腕から肩の筋肉を念入りにほぐし、前受け身、後ろ受け身、膝行・膝退(正座した状態での前進・後退)、と試してみました。
反射神経はそれほど鈍ってないので、軽めの稽古ならついていけそうだな。

柔軟運動中に杖(棒状の武器)の見本演武が始まりました。
そこで柔軟運動を中断して正座で見学。
「十三型」と呼ばれる基本の杖の型です。

久しぶりの杖の稽古。
ぜひ参加してみたい。
杖を取りに立ち上がろうとしたのですが……なぜか立てない。
正座の体勢から動けない。

でも、筋肉のこわばりがないところをみると「硬直発作」とは違うな。
何が起こっているんだろう。

私とは別に動いている私の体の意思(自己防御本能)に訊いてみました。

……なぜ動かない?……
……ココハ「ホーム」カ?「アウェイ」カ?……
……わからない……

確かに私にも判断がつかない異様な空気がある。
杖の稽古をしている人と、それを正座して見ている私との間に硬質ガラスがはさまっている感じ。
いったいなんだろう。

「迷った時は動かずに臨戦態勢で周囲の情勢を探る」

体の意思の判断は正しい。
ここは見学に徹するかな。
「十三型」なら、また稽古する機会があるだろうし。

みんな熱心に杖を振っています。

それにしても、なんだろう。この空気。
拒否されてるわけでもないけど、受け入れられてもいない。
何か見えない壁に隔てられているような感じがするけれども、それを作っているのは私自身なのか。

義母の在宅介護のために、5年ほど出稽古先に「預かり状態」で稽古を続け、義母が在宅介護から病院介護に変わったので、元の道場に戻ってきました。
武道家の中には、こういう出戻り状態を「よその道場の色がついた」と言って嫌う人も多いんですが。
普通は介護問題が起きた時点で合気道を続けられないから、介護しながら合気道続けた私がいけないとも思えないんだけどなあ。

「十三型」の稽古が終わり、「杖取り」の稽古になりました。
これは取り(技をかける側)が受け(技をかけられる側)の杖の突きをかわして杖を奪う技。
二人一組で稽古する技ですが、杖を持ったものの組む相手が見当たりません。

しばらく杖を持って立ちつくしていましたが、道場に入ってきた時から感じていた「見えない壁」は、ますます分厚くなってきたような気がする。

しょうがないな。撤退だ。

明日は、公益財団法人大阪産業振興機構『おおさか地域創造ファンド』採択事業者向けの助成制度説明会と懇親会。平成26年度採択事業で、豊能地域(大阪北西部)を中心とする北摂地域の歴史・文化に特化した出版支援事業『北摂叢書』の代表として、絶対に出席しなければいけない大切な行事。

こんな精神状態で稽古してケガでもしたら、道場だけでなく、豊中商工会議所や豊能地域活性化推進協議会など、各方面の関係者にもご迷惑をかけてしまう。

杖を元の位置に返し、観覧席の自分の荷物のところまで戻りました。
他の武道と違って、合気道は自分の体調に合わせて、稽古中に休憩してよいことになっていますが、今回は早退させてもらおう。

これから『北摂叢書』の立ち上げで忙しくなるから、またしばらく合気道を休むことになりそうだけど。
道場で感じた「見えない壁」の正体は、また落ち着いてから考えよう。
「杖取り」の稽古を見届けてから帰るつもりで、観覧席に座ったその時……

「すみません。もしよかったら一緒に稽古しませんか?」

声をかけてきたのは長身の有段者。
その顔に見覚えがありました。
私が道場にいた頃、何度か技を教えたことがある若者。
私が道場を離れていた5年のうちに、有段者になっていたんですね。

彼のおかげで、稽古に参加することができたけれども……合気道の稽古って、こんな感じだったっけ?
終始違和感がつきまとう稽古でした。

帰宅すると、夫が不安そうな面持ちで待ち構えていました。

「稽古、どうやった?」
「よくわからない」
「……そうか」

それ以上、夫は何も言いませんでしたし、私も稽古について何も言いませんでした。
 
私と道場の人を隔てる「見えない壁」「釈然としない感じの稽古」……その正体が何なのか。
宿題です。
ラベル:柔術 合気道
posted by ゆか at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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