『北摂叢書』の立ち上げでバタバタしているうちに、11月になってしまいました。
「豊中市スポーツ教室「合気道」2期」も、1度も行けないうちに終わってしまいそうです。
稽古に出かけたものの何か納得がいかない。
胸の奥で灰色がかった靄が渦を巻いている状態。
「合気道の稽古の話聞いてると、全然楽しそうじゃないな。苦行みたいやんか。丹田呼吸法やったら弓道の方がいいんちゃうか」と不思議そうに言った弟。
「ブログ読んでると合気道の稽古がしんどそうです」と心配してくれた居合三段の同級生。
私にとっての合気道は「喘息を軽くする丹田呼吸法習得のための修行」だったので、体がしんどいのはしょうがないし、人嫌いでもあるから2人1組で相対しての稽古は苦痛でしたが、「修行だから」と割り切っていました。
でも、丹田呼吸法ができるようになってきているので、以前ほど必死で稽古する情熱がないんですね。
軟弱だなあ。私は。
『若い頃は考えもしなかったが、合気道という武道をなぜ今もやり続けているのか、我ながら不思議である。金にも名誉にもならないことを、貴重な時間を割いて稽古に通い、怪我をしたり、させられたり、夏の極暑の中や冬の寒中などの厳しい環境でも、苦しい思いをしながら稽古するのである』
『佐々木合気道研究所』サイトで所長の佐々木貴7段は、そう書かれているけれども。
何十年も稽古を続けられている先生でさえ、「いつも合気道の稽古が楽しくてしかたがない」わけではないらしいと知って、すこし安心しましたが。
……ただ、あの言葉が。
「なぜ10年たっても初段なんですか」
ある道場の合気道家の言葉が棘のように心に刺さったまま。
「介護で昇段規定日数に達するのが遅れていまして」と説明した私への軽蔑の視線。
思い出すたびに稽古に出かける気力を失います。
「介護をしていまして」というと、時々、軽蔑されることがありますが、それほどまでに「介護は罪」ですか?
いずれ誰かから「なぜ10年たっても初段なんですか」と言われることは覚悟していましたが。
よりによって同じ合気会、「愛の武道」の異名のある合気道家の口から、その言葉が出るとは思いませんでした。
他武道の方から言われるよりもダメージが大きかったのです。
もちろん優しい合気道家もたくさんいるのもわかっているけれども。
在宅介護で所属道場を離れている間に、同門の人とは疎遠になりました。
「いずれ在宅介護になって合気道は続けられない」と思っていたから、意識的に距離を置いていたところもありますが。
例えば、稽古後に飲み会に誘われても、ほとんど参加しませんでした。
「稽古より、稽古後の飲み会が楽しみで合気道を続けてる」と言い切る人がいるほど、飲み会は楽しいものらしい。
「らしい」というのは、私は飲み会に出ても、あまり楽しくないからです。
夜は喘息発作が起きやすい時間帯だし、アルコールは持病の喘息を悪化させるし、いつも頭のどこかで義母のことがひっかかっていて一次会で帰ってしまう。
しだいに誘われなくなった。
それはいたしかたないけれども、今になって、この「飲み会」こそが、道場仲間意識を強めて「楽しく稽古を続けられる」コツだったと気づきました。
もう手遅れですが。
では、何を支えに合気道を続けていけばいいんでしょう。
……次回に続く……
ラベル:合気道
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