「道場内の人間関係」。
これが濃密になるのを意識的に避けてきました。
義母の容態しだいでは、いつ辞めることになってもおかしくない状態だったし、合気道の稽古の目的は「喘息を軽くする丹田呼吸法の習得」で、昇段を重ねて指導者になることではなかったので。
「一瞬で一番いい場所に位置取りするくせに、なぜかそこで一歩退く。悪い癖ですねえ」
出稽古先の先生には、稽古の最中によく叱られました。
「相手と正面から向き合っていない」
これもよく言われました。
今考えると、合気道の稽古だけでなく、人間関係にも言えることかもしれません。
一番いい場所に位置取りしておきながら一歩退く……最も攻撃に有利な位置を確保し、なおかつ即撤退できる体勢を整えるため。
相手と正面から向き合わない……相手の方が圧倒的に力を持っている場合、正面から向き合えば負けるから。
つまり「相手との和合」を想定していない。
一旦争いがはじまれば、とことん争い続けてしまう自分の性分と、傷つきたくない、争いを避けたい矛盾した気持ちが、稽古の中に現れていたのだと思います。
そんな自分を直せるでしょうか。
『合気道の稽古においても、己の本性が喜ぶようにしなければならない。本性が喜ばなければ、稽古は長続きしないだろう。リスクを恐れず、挑戦することである』
『佐々木合気道研究所』に書かれている言葉に考え込みました。
私の本性は合気道の稽古を喜んでいるだろうか。
『己を厳しい環境において稽古していけば、おそらく知恵がつき、賢くなるだろうから、本性が喜ぶはずである。困難に立ち向かい、乗り越えることに喜びを見出すのも、本性のひとつだからである』
どちらかといえば、楽より苦労を選びがちなので『困難に立ち向かい、乗り越えることに喜びを見出す』のが本性なのでしょうが。
その「困難」とは「合気道の稽古」のことなのか?
先にすべきことがあります。身の回りのものを断捨離しましょう……直感の意見。
マダ完全ニ体ガ回復シテイナイ。稽古ハ危険……自己防御本能(身体の意思)の判断。
今年2月に「クラッシュ」に近い倒れ方をしたわりには、医者が驚くほど回復のペースが速いのは、彼らの協力があるからです。
この先、私の合気道の稽古のテーマになるのは「人との向き合い方」なんでしょうが、稽古が「ストレス」にならない程度に続けるには、どうしたらいいか。
しばらく考えてみます。
ラベル:合気道
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大学で合気道を初めて、合気道のことをもっと知りたいと思っていた時にこちらのブログにたどり着き、それ以来通わせていただいております。当時稽古に躓いては、こちらの分かりやすい文章から、たくさんのヒントをいただきました。ありがとうございます。
私は大学卒業後郷里に戻り、こちらに流派がなかったこともあって合気道から離れていたのですが、最近また違うところでもう一度初めてみようかと検討していたので、この話に考え込んでいました。
自分のいた流派では社会人の女性はほぼゼロで、唯一の女性も結婚出産を機に辞められていました。有段者と組むと必然的に男性ばかり、練習は充実しているのですが、少し寂しさのようなものを感じました。
練習時間が減れば進歩もゆっくりになりますし、すぐに昇段というわけにはいきません。しかし練習に毎回参加すること・昇段することがそんなに重要なのでしょうか…
介護をしながら合気道を続けていた貴女様に尊敬の念を抱いていますし、そんな心ない言葉を浴びせる人が合気道家にいることは、ただただ残念です。