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2015年02月11日

東の武祭(前編)東へ

昨年末、公益財団法人日本武道館から『第38回日本古武道演武大会』の招待状が届きました。

開催地は去年と同じ東京の日本武道館。
昨年の演武大会では鹿嶋の武人(鹿島新當流剣術)の演武が楽しみでしたが、記録的な大雪で羽田空港は閉鎖。
鉄道も高速道路も動かない。
東京へ行けなくて非常に悔しい思いをしました。

今年の演武大会には備後の武人(佐分利流槍術)と泉州の武人(関口新心流柔術)が演武に出るし、私の地元・豊中の古武道、風傳流槍術も出る。
喜び勇んで飛行機のチケットを手配したけど……一抹の不安が。
去年みたいに、空港の搭乗口600m前で「欠航になりました」のメールが来たらどうしよう。

今年の演武大会見学は公にしませんでした。去年、この憎き大雪のせいで、武道館でお目にかかる約束をしていた方にご迷惑をおかけしたからです。

2月8日、豊中にある大阪国際空港から出発。羽田までは1時間10分の空の旅。

スマホの二次元バーコードを読み取らせる「JALタッチ&ゴー」で搭乗も楽。関西のICカード「PITAPA」は東京でも使えるから便利。
羽田からモノレールで東京へ向かいます。

ところが、持参していたデジカメの動作をチェック中、突然画面に「電源オフします」の表示が現れ、デジカメの画面が真っ暗に。
えっ! さっきまで電池残量がフル充電状態だったのに。
まずいなあ。充電セットは持ってこなかった。
東京の電気の周波数は50ヘルツ、大阪の電気の周波数は60ヘルツだから、下手にコンセントをつないでデジカメに充電しようとすれば、充電どころか故障するかもしれない。

新型のiPhoneに、2台分のスマホをフル充電できる充電器につないで100%充電したので、画像は今ひとつだけど、今回はこれで撮影するしかないなあ。

それにしても東京の鉄道網はややこしい。やたらに乗り継ぎの回数が多いし、同じ駅名なのに駅同士の距離が離れている。
有楽町では出口を一つ間違えて地上に出てしまい、Googleマップのアプリを頼りに、あわてて引き返すトラブルがあったものの、なんとか無事に日本武道館に到着。

お土産屋で「武道館サブレ」と日本武道館オリジナルの革のキーホルダー。
ロゴ入りボールペン(三菱鉛筆ジェットストリーム)を購入。
昼食用に「やわらかカツサンド」と紅茶を買って演武会に備える。
昼の休憩時間には、売店に人が殺到するだろうから、ここで先手を打つわけです。
観覧席に入ると右側の前の方、通路横に陣取りました。
最前列は満員だし、演武が見やすい席は「大使館用」として縄が張ってある。難しいなあ。

しかも演武場から観覧席が遠い。2回から演武場を見下ろす形になるのですが、演武場間近には「大会本部席」。
その左が「マスコミ関係者席」。
本部席の右側が「古武道関係者席」で、私は比較的演武者との距離が近い、古武道関係者席の上から演武を撮影することにしました。

さて、ここで昼食。
開会は10時半ですが、過去の演武会見学の経験では「古武道演武大会」では、何が起こるかわからない。
大阪の「西日本古武道大会」では、突然「開催スケジュールを変更し、昼の休憩時間をなしとします」とアナウンスが流れて、そのまま身動きできずに、パイプ椅子に座ったまま、4時間ノンストップで演武を見る恐ろしい体験もしているので、腹ごしらえはできる時にしておいた方がいいでしょう。

昼食後、第38回日本古武道演武大会がはじまりました。
開会式と古武道功労者表彰後に、全国から集まった35流派の古武道(明治以前から存在する武術)が演武を披露。

最初は烏帽子直垂姿の鎌倉武士が登場。
小笠原流弓馬術です。
今回の射手は一人。持っているのは鏃(やじり)に赤い鏑(かぶら)のついた鏑矢。
的に近づいた直垂姿の男性が祝詞のような言葉を唱えた後、射手が放った鏑矢が音を立てて宙を飛び、的に命中。
「鏑矢を射る」行為は開戦の合図や神事にも使われるもので、今回は「蟇目の儀」という魔障退散の儀式。
演武始めとして最高の演出です。

一昨年に姫路で開催された日本古武道演武大会の時より、若い女性の見学者が多いのは、ゲーム『刀剣乱舞』が流行っているからでしょう。
たとえゲームがきっかけでも、古武道に興味を持ってくれればいいんですが。

写真を撮り、あらかじめ流派の名前を書いたレポート用紙に演武の印象をメモしていきます。
なかなか見る機会のない演武。
しっかり記録しておかねばなりません。

「ヤー!ボウ!エイッ!」と独特の気合を出す「心形刀流剣術」。
一部の技が柔道の型にも組み込まれている「起倒流柔術」。
力で押す剣の「関口流居合術」。
重厚さを感じさせる「肥後古流長刀」。
打ち合わせた刀を回してさばき、相手の刀を打ち落とす「當田流剣術」。

女性が気合の入った投げ技を見せる「渋川一流柔術」。
重厚さと威厳を感じさせる「貫心流居合術」。
受け手が大きなつばのついた木刀で棒の攻撃を防ぐ「竹生島棒術」。
鎧兜姿で陣笠や薪のような身近なもので敵を制する「柳生心眼流甲冑兵法」。

「鬼篭手」と呼ばれる巨大な藁の小手を使う「北辰一刀流剣術」。
鮮やかな足裏受け身に歓声があがり、敵を短刀でめったざしにする型では悲鳴があがる「諸賞流和(しょしょうりゅうやわら)」

鎧武者姿で、草むらからの不意打ちを得意とする初實剣理方(しょじつけんりかた)一流甲冑抜刀術。
備後の武人が演武する「佐分利流槍術」は動画撮影に挑戦。
赤の鎧武者がFacebookの友達(いっきょうさん)だとわかっているけれども、こちらを向いてくれない。
演武者がみんな「マスコミ席」に向かって演武してしまうので、背中ばかりみるはめになる。

姫路の武道館のように、天井に4面のスクリーンがあって、演武をアップで見ることができる機能は日本武道館にはないんですね。残念。
たぶん「マスコミ席」側の人が画像をネットで公開してくれるとは思うんですが。

刀を持たず素手で相手を制する「無刀取り」を見せる「立身流兵法」。
剛直な技と江戸時代の「捕縄術」を披露する「竹内流柔術腰廻小具足(こしまわりこぐそく)」。
振袖姿に鉢巻とたすきがけ、若い女性が勇ましく薙刀をふるう「楊心流薙刀術」。
軽快な動きを見せる「伯耆流居合術」。

「パパ、このたちの刀って、ピカピカしてる。アルミでできてるの?」
不意に後ろで男の子の声がしました。
「これは鉄でできてるんだよ」父親とおぼしき30代の男性の声が聞こえました。
「この人たち、刀持ってるのに、なんで戦わないの?」
「これは「型」をやってるんだ。乱捕りとはちがうよ」「「型」って何?」
「まあ、そんなものがあるんだ」

父親はなんとかごまかしていました。
「乱捕り」という言葉が出たところをみると、この人は柔道家でしょう。
「「型」って何?」は合気道家の私にも答えられない難問です。
「古武道に興味がある」と「古武道を稽古する」の間には深い溝がありますね。
戦国武将ゲームに慣れた若者の目には「ゲームを現実に再現」としか写らないかもしれない。
それがとても残念です。
 
ここで電池の残量を見たら半分になっている。
画像や動画を撮ると電池の消耗が早いのです。
充電しようとしたら、iPhoneがケーブルを認識しない。
ううう。えらいことになった。
さっきまでまともに動いてたのに。

しかし、午後から泉州の武人の「関口新心流柔術」や「風傳流槍術」、夫がかつて学んでいた「大東流合気柔術」もある。
全部の演武の写真を撮ったら、一旦電源を切ろう。
スマホの画面にバーコードを表示させないと、帰りの飛行機に乗れないから。

……この時の私は、さらなる災難が待ち受けているとは知るよしもありませんでした。

……次回に続く……

ラベル:武道 剣術 柔術
posted by ゆか at 00:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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