このニュースが流れたのは予想より早かった。
『TPP』の用語解説の仕事をしたので、日本の知財のあり方を根底から変える「著作権侵害の非親告罪化」には不安を感じていた。
著作権侵害は民事裁判で争われることが多いが、民事罰の他に刑事罰があって「10年以下の懲役か1000万円以下の罰金、又は懲役と罰金の併科」という非常に重いものだからだ。
この本の著者は弁護士。
具体的な事例と簡単なクイズで、著作権についてわかりやすく説明している。
昨年11月のスクウェア・エニックスの漫画『ハイスコア・ガール』の著作権侵害問題、漫画家や編集部員の書類送検を「表現の自由にも影響」と懸念しているが、カプコンやバンダイナムコゲームスから著作権の許諾を取り、SNKプレイモアには無断でゲームキャラクターを漫画に利用した出版社の方に問題があると思う。
これまで本人が訴え出なければ罪に問われなかった「親告罪」が、第三者が告発できる「非親告罪」になると、「日本の文化を支えてきた二次創作同人誌や同人誌即売会がなくなる」とネットで騒がれているが。
著作権法第二十八条には『二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する』と明記されている。
つまり原作者から許諾を取れば、これまで通り二次創作同人活動はできるので、当面のところ、それほど心配することはない。
ただ、今後著作権法はどう変わるかわからない。
著作権侵害に神経質な図書館由来の『北摂叢書』と、著作権に厳格な学術論文の世界からスタートした『BookWay』は、それぞれ弁護士を用意しているが、普通の人ができる対策は「著作権を守る・契約書を作って相手に著作権を守らせる」しかないと思う。
『文化庁』サイトに無料の著作権契約書の作成支援システムがあるので、ぜひ利用してほしい。
『18歳の著作権入門』 福井健策著 ちくまプリマー新書
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