この途方もない数字の業績を上げているトヨタ自動車の強みは「現場の強さ」。
この本の著者は、トヨタ在籍40年以上のベテラン技術者を「トレーナー」としてさまざまな業界に派遣している株式会社OJTソリューションズ。
トヨタの現場の98の知恵が「仕事哲学」「5S」「改善力」「問題解決力」「上司力」「コミュニケーション」「実行力」の7つの項目に分けられて説明されている。
この「トヨタの強さの秘密」の中で一番ウェイトが高いのがコミュニケーション関係だ。
『仕事ぶりを褒める』一方で、部下の成長をうながすために『部下を困らせる』。
実力があるのに埋もれている人材を引き上げて、組織自体を活性化させるために『面倒な人から動かす』。
やる気を引き出すために『できの悪い人ほど褒める』。
部署で2番目に仕事のできる人の力を伸ばすために、人事異動があれば、あえて『ナンバーワンを外に出す』。
「あらゆる手段を使って生産性を高める」、トヨタは「QCサークルが発達したロジカルでシステマティックな会社」というイメージを抱いていたのだが。
トヨタの上司は「神経質」とも思えるくらい、部下とのコミュニケーションに気を使っているのが意外な感じがした。
最近私も非常に忙しいが『忙しくしている人は問題を抱えている』は耳が痛い。
段取りがよくないので余裕がないのはわかっているけれども。
『「全戦全勝」は目指さない』を読むと少し安心した。
「失敗」すら「成果」としてとらえるトヨタのおおらかさがうらやましいと思う。
『改善は永遠に続く』……「現状」と「あるべき姿」のギャップを「改善」で埋めると、「あるべき姿」は「現状」になる。
そして、さらに上の段階の「理想のあるべき姿」をめざして「改善」を続ける。
これからもトヨタの挑戦は続いていくのだろう。
「トヨタの現場の知恵」がコンパクトに納まっていて、すぐに仕事に役立つ便利な本だ。
『トヨタ 仕事の基本大全』 株式会社OJTソリューションズ著 KADOKAWA
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