「日本国憲法第二十五条『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する』に基づき、所得金額に関係なく、全国民に同額の基礎的所得を与えよ」。
この本で驚くべき提案をしているのは、早稲田大学政治経済学院特任教授で東京財団上席研究員。
問題は多いにしても機能している「生活保護制度」を廃止する必要があるのだろうか。
著者は国際的なデータを元に
「日本の貧困率が高いのはワーキングプア(年間収入が生活保護費を下回る人々)が多いため」と断言する。
たしかに、90年代以降、景気がよくなっても増えたのは非正規雇用で、行政の雇用対策で雇われる人も非正規雇用が多い。
ただ「若者の失業・非正規雇用」も問題だが、「医療・介護の費用負担増で破綻する年金受給者」も、いずれは増える。
ちなみに、我が家が義母の20年の介護関連費用が1000万弱。
義母が人工透析で医療費免除を受けているため、この程度の金額だったが、減免制度がなければ、人工透析だけで月に30万以上の医療費がかかり、我が家は破綻していた。
働けない人を救うためにも新しい制度が必要だ。
しかし……
『より高いBIの給付を行うには、より高い課税が必要になるということである』
さらりと恐ろしいことが書かれている。
BIは政府が支出している社会保障費を財源にして給付し、所得控除を廃止して全国民に一律30%所得課税する。
なんという恐ろしい話だ。
これを可能にするのが、今年10月からはじまる「マイナンバー制度」。
国民に1つずつ与えられる税と社会保障と災害の記録を一元化した番号。
正常に機能すると、総務経理実務担当者の負担が増大し、政府は税や社会保険料の滞納者に簡単に追徴できる。
私は経営者目線で考えていたが、社会保障目線で考えると「マイナンバー制度」は、そんな使い方もできるのだ。
正直なところ、導入されてみないとわからない制度だが、何かが激変する予感はある。
『ベーシック・インカム』 原田 泰 著 中公新書
(この記事は2015年5月30日の情報を元に書かれています)
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