「さっさとFP取って真面目に資産運用したら」
今年の高校の同窓会で、唐突にファイナンシャルプランナーに叱られた私。
それにしても妙な叱られ方です。
「さっさとFP取って」……
ファイナンシャルプランナーとは、依頼を受けて家計診断や資産運用のアドバイスをし、必要に応じて、税理士・社会保険労務士・不動産鑑定士・保険会社・金融機関などの各分野の専門家と連携しながら、依頼者のお金に関する諸問題を解決する職業。
そんな難しい仕事、私にできるんでしょうか?
そもそも私にFP資格が取れるのかしらん?
彼女の口ぶりは「取って当たり前」みたいな感じだったけど。
「真面目に資産運用したら」……
確かに、今まで介護に翻弄されて、真面目に資産運用していませんでした。
実験的に米ドルのデイトレードしたことがありますが、それで実感したのは「確実に資産運用するには、お金の余裕のほかに、さまざまな情報を集めて、的確に判断できる心の余裕が必要」ということ。
だから、在宅介護の期間中、意図的に資産運用をやめていたのです。
膨大な情報量と冷静な判断ができる精神状態が揃ってないと、逆に資産を失いかねないので。
よく考えたら私は今年で50。
「老後資金」を本気で考えなければいけないけれども、辛い現実は見たくない。
義母の介護をしていたから、特に「自分が要介護状態になった時の費用」なんて、恐ろしくて考えたくもない。
それにしても「FPを取ってFPになれ」じゃなくて「FPを取って資産運用しろ」というのは妙な話……と思っていたら「ライティングアドバイザー」の商標が認可されてしまいました。
「ライティング」も「アドバイザー」も普通にある言葉なので、特許庁が認可するのか半信半疑でしたが。
商標の定義によると「ライティングアドバイザー」とは、「高い企画力と調査力と文章力を持ったFPのような職業」なんです。
結局、FP資格を取らざるを得ないところに追い込まれてしまい、観念して学校に通うことにしました。
先週末の授業は「年金」でしたが、法改正が頻繁に行われているので難しい。
特に「高齢者再雇用制度と年金の関係」が今ひとつわからないので、キャリアカウンセラーに相談してみました。
私の担当は社会保険労務士。
わかりやすい説明で問題は解決。
ついでに、先週から頭の片隅で引っかかっていることも相談してみました。
「とりあえず週明けに年金事務所へ行くことにしました。私は昭和40年生まれです。テキストによると、年金的に非常に微妙な年齢らしいし、自分で保険料を納めたり、転職したり、被扶養者になったりしてるので、今の自分の年金がどうなっているのかわからないし、減免や付加給付や追納についても知りたいんです」
「難しいですねえ。昭和40、41年は移行期の特殊な年齢だ」
「しかも夫は35年生まれ」
「ご主人も微妙な年齢じゃないですか……しかし「年金が1円も出ない」ということは、ありえないから安心してください」
「厳しい現実に直面するかもしれないけど……でも、勉強している最中に、すぐに自分の経験を思い出してしまうのがよくないと思います」
「どんな経験を?」
「銀行事務、生保で企業年金の試算、経理で所得税、総務で社会保険の手続きや計算。住宅を買いました。あとは相続だけです」
「面白いですね。金融資産、保険、税金、社会保険・不動産のFPの全領域の実務をこなした人は、珍しいですよ」
「その「実務経験」こそが、勉強の足を引っ張ってる感じがしますよ。例えば、2004年に義母の介護保険の認定を受けたんですが。それはあくまで「利用者としての視点」に過ぎず、全体を見ているわけじゃない。税金にしても不動産にしても、すぐに自分に引き寄せてしまう。FPは全領域を俯瞰的に見る仕事だから、昔の偏った実務経験は、いっそない方がいいのでは?」
「いやいや、そんなことはないですよ。実務経験がある人が「テキストと実務が違う」と怒るケースはありますが、そこまで客観的な視点があるんだったら、大丈夫ですよ。とりあえず、実務はおいといて、きちんと試験勉強する。いずれ実務をはじめたら、絶対経験は役に立ちます」
「それで安心しました。週明けから年金事務所通いです。10月1日の法改正までに、自分と夫の年金の状況を調べて、減免や繰上げとか加算給付とかを全部調べて、手を打っておかなければいけません」
「なかなか的確な判断ですね。週明けから10月1日まで3日しかない。急がないと」
「それにしても、そこまで客観的に分析できるってことは、FPの素質は十分ですよ。FPだけで食べていくのは難しいけど、何か人にアドバイスできる商売があるといいですね」
一応「ライティングアドバイザー」なんですけど。めんどうごとは避けたい。
ということで、年金事務所通い。夫の委任状その他の書類を集めるのに手間がかかりましたが、年金の概算が出ました。予想通り少ない。これをなんとか増やさないといけない。
……年金事務所で調べてもらったら、自分が思ってたよりも年金額があったので、ちょっと安心。これから不動産、保険、どんどん難しくなっていきますが、得る知識も多そうです。
元々は「北摂叢書にFPに似たサービスを組み込みたい」というもくろみだったのに、自分の家計ばかりがよくなる。困ったものです。
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2015年09月30日
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