その目標と戦略を設定するイノベーション25戦略会議を立ち上げた安部政権。
20年先。
私たちの暮らしはどうなっているのだろう?
想像もつかない。
例えば10年前の1997年。
今のようにインターネットが発達し、誰もが気軽に世界にむけて情報発信でき、仮想現実と現実の境目が曖昧になり、新しいビジネスが、ネット上に次々と現われる世の中を、誰が想像できただろうか。
著者の坂村健氏は、東京大学大学院情報学環学際情報学府教授。
TRONコンピュータの生みの親であり、ユビキタス・コンピューティングの推進者。
(ユビキタスについての詳細は『ユビキタス、TRONに出会う』にて)
『イノベーション』とは『革新』。
『プロダクト・イノベーション(製品)』
『プロセス・イノベーション(技術開発とその運用)』
『ソーシャル・イノベーション』の3種類。
日本は目標にむかっての技術開発が得意だったため、プロダクトとプロセスのイノベーションは優秀だ。
だが、変化が激しく目標設定が困難な状態に弱い。
ソーシャル・イノベーション……変化に対応できる柔軟な社会制度の整備が他国に比べて遅れている。
この激動の時代に、20年先の目標を設定するイノベーション25戦略会議。
それで大丈夫だろうか?
ソーシャル・イノベーションを充実させるキーワードは、オープン(詳細な情報公開)、ユニバーサル(誰にでも使える)、ベスト・エフォート(性質や品質は保証できないが最善の努力をつくす)……
なんだか、どれも今の日本に欠けているもののような気がする。
が、すでに一部で、産学官民連携による新技術開発や、新しい社会制度を模索する動きなどがはじまっているところが救いだ。
ただし、「変化に対応する」……「何のために?」の視点を常に忘れてはいけないと思う。
『変われる国・日本へ』 坂村健 著 アスキー新書
ラベル:イノベーション
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