この本はWeb上で連載されたコラムをまとめたもの。
『衣食住を最低限に切りつめれば、必要なお金や組織に売る自分の時間も減る。貧乏生活で自分をリストラして、自由時間を多く持とう』
という趣旨で、お金をかけずに生活するテクニックが満載の本だが……何かが腑に落ちない。何かが変なのだ。
ふわふわと形容詞だけが一人歩きしているような、抽象的で饒舌な文体のせいか?
明治生まれ、アイルランド系アメリカ移民の祖母から聞かされた『貧乏の怖さ』に比べると、描かれている『貧乏』が暢気だからか?
米がない苦労に、「ネット代より米の方が安いのに」と考える主婦感覚がいけないのか?
夫のお気に入りのコートの袖がすり切れてきたので、「新しいコートを買ってあげたい」と思うのは、著者のいう『足りないものを消費で補う貧乏くさい行為』なのか?
……やっとわかった。このスロー・ライフに欠けているのは『家族』だ。
確かに、日本で家庭や家族を持つことが、経済的にリスキーな時代になりつつあるので、この本は時代に即したものといえるかもしれない。
残念ながら、家庭持ちで、月4000円、喘息の薬代が払えないと死んでしまう私には、このスロー・ライフはちょっと無理だが。
ところで、著者のホームページ『全日本貧乏協議会』によると、最近、彼は雑誌連載や講演活動で忙しいらしい。
彼をとりまく現実は、彼の理想とは逆にむかっているようだ。
『貧乏神髄』 川上卓也 著 WAVE出版
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