茨城県岩間道場の故斎藤守弘師範のビデオが、ようやく、私のところに回ってきました。
(詳細は『杖と茶帯』(後編)にて)
斎藤守弘9段は、茨城県岩間町(現在は笠間市)の合気修練道場(現合気会茨城支部)の師範で、開祖に24年間師事した武器技の達人。
合気会では、開祖の武器技を継承したとされる、この方の木剣と杖の型が主流です。
杖の型は十三型と三十一型があるのですが、十三型を覚える時には大苦戦。(詳細は『杖〜じょう〜』(前編)に)
十三でも大変なのに……これが三十一となると、映像を見ながら一つずつ型を覚えていくしかありません。
武道には「見取り稽古」という言葉があり、師範の「型を見ること」も、大事なのですが……実は、私はこれが、大の苦手。
「なんで、見た通りにできへんねん!」と、子供の頃から、散々体育教師の罵声をあびてきました。
確かに、先生が一度した動きをすぐにできる、動体視力と運動神経と器用さを持ち合わせた子供が、クラスには2人ぐらいはいましたから。
「見てわからんのか?」と訊かれ、「わかりません」と正直に答えて、何千回叱られたことでしょう。
最近では、ネット上の画像共有サービスに、武道の動画がたくさんあり、パソコンで見ることが一般的ですが……
みんな、パソコンで見た達人の動きを、そのままできたりするのでしょうか。いいなあ。
さて、斎藤師範のビデオが手に入ったのはいいけれど、私がこれを見て、「わかる」かどうか……
心配になって、夫(武道13段。空手と剣道の指導員経験あり)に尋ねました。
「見取り稽古は、どこを見ればいいの?」
「なんじゃ、そりゃ」
けげんそうな顔の夫。
「杖のビデオが手に入って、これから見るんだけど。たぶん、ツボとか、コツとか、何か、特に見ておく場所っていうのがあるんじゃないかと思って」
「昔は、そんなに、武道のビデオ見ることなかったからな。俺は見取り稽古より、実際に動く方が好きやったし。体格や手足の長さも、それぞれ違うから。動いてみんとわからんこともある。……そのビデオ。解説つきか? まさか、映像だけのビデオとちゃうやろな」
急に、夫の顔が厳しくなりました。
「一応、解説がついてるって」
「そうか。そんなら大丈夫やな。単なる映像やったら、それを見ただけで、なんとなく、わかった気になるから、よくないんや。多少イメージはつかめるやろけど」
確かに、「なんとなく、わかった気になる」のは、武道にとって危険なこと。
たまに台所で、夫に「体の転換(基礎の体さばき)」のチェックをしてもらいますが、その時、厳しい言葉で懇切丁寧なアドバイスがあります。
「お前は、「見てもわからん」タイプの人間やから、俺は言葉で説明するんや」と、いつも言われています。
実は、私の目は普通の人と比べて「見えていない」らしく、耳で聞いた記憶は鮮明なのに、見たものの記憶は、それほど残ってないことが多いのです。
「動くものを凝視して記憶する」には、相当な集中力がいるので、かなり疲れます。
「お前の目は、素通しガラスみたいなもんや。心眼に頼っとらんと、もっと目、使え」
「面倒やなあ。大体、実戦の時、目で見てたら遅いやんか。それに、ハウスダストや花粉みたいな目に見えんもんに、動体視力や観察力が、なんの役にたつねん」
そう答えて、夫に「あほっ! 普通の人間は、目しか見えてないんや。もうちょっと、想像力を働かせろや」と説教されたことがあります。
でも、空手などでは、拳が「見えない速度」で飛んでくることが多々あります。
それに、私はアレルギー患者。
空気中の目に見えない大きさの花粉やハウスダスト……喘息や花粉症などを起こすアレルゲンの濃度を、いち早く読み取り、それを吸い込んだり、目や鼻の粘膜につく前に、防御しなければなりません。
アレルギー症状を起こす前に対応するためには、「視力」では、とても無理。
結局、「普段は心眼を使ってもいいけれど、ビデオや演劇鑑賞などの「目で見なければいけない状態」の時は、目で見るように努力する……そういう結論になりました。
さて、「斎藤師範のビデオ」をどう見るか……
「まず、ビデオをDVDに録画する。それから、リビングのテーブルとか片づけて、スペース作る。後は、DVD繰り返し見る。特に、「足さばき」、「重心の移動」、「手の返し」とか、1回ごとに別のパーツだけを見ろ。なんとなく全体を見るな。大体わかったら、今度は、見ながら実際に動いてみる。わからんかったら、巻き戻したり、コマ送りしたりして、何度でも見ろ。……お前は、目弱いんやから、そこまでせんと、見取り稽古は無理や」
なかなか厳しいことになりましたが、がんばってやってみます。
……次回に続く……
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2007年06月16日
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