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2017年07月07日

文月の頃

今日は7月7日。七夕の日です。……


7月のことを昔は「文月(ふみづき)」「文披月(ふみひらきづき)」と呼んでいました。

縁結びで有名な『京都地主神社』によると、その由来は、七夕の行事で短冊に歌や字を書いて書道の上達を祈ったり、本などの書物を夜風にさらしたりする風習があったことからというのが有力とされていますが、先日、その「文披月」を彷彿させる公演を見てきました。

『椿屋騒動 情の名残り月(なさけのなごりづき)』。
原典は初代柳家小せんの作と伝えられる落語『文違い』。

物語の舞台は内藤新宿(現在の新宿付近)の女郎屋。
主人公は女郎の「お杉」。

お杉は「病気の母のために「人参」が必要」と、お人好しで田舎者の角蔵を騙して30両をせしめ、隣の部屋にいたなじみ客の半七からは「父が無心してきたので」と20両を騙し取ります。
50両を持って、うれしげに恋人の芳次郎(よしじろう)に会いに行くお杉。

芳次郎は目を布で押さえながら「50両する「真珠」という薬があれば目が治る」と言い、お杉から50両を受け取り、そそくさと帰りました。

そして、置き忘れられた芳次郎の手紙を見つけたお杉。
それは小筆(こふで)という名の女郎が芳次郎に宛てたもので、内容は「身請けを断ったが50両を要求されている。眼病と偽り、お杉に50両都合させるとはうれしい」。

お杉は悔し泣きをしながら、半七の部屋に戻ると、半七もお杉が落としていった手紙を見つけていました。
20両を騙し取られたことを知り、激怒してお杉を殴る半七。

お杉と半七の口論を壁越しに聞いた角蔵は、小者を呼んで「早く止めて止めてこい!お杉が殴られているだ。あれはお杉のかかさまの病のために、おらが恵んだものだ」と言いかけ、「いや、やめておこう。それを言ったら、おらが間夫だとわかっちまう」と苦しみます。

そして、そのまま舞台は閉幕……
後に残るのは三味線とギター、バンジョーの物悲しげな旋律。

黒一色の背景と、織りなす男女の騙し騙される駆け引きの模様は、落語というよりも文楽の『曽根崎心中』を連想させる見事な舞台でした。

正直なところ、古典文学でも男女のどろどろした恋愛話は苦手。
『源氏物語』よりは『枕草子』が好きで、落語なら『饅頭怖い』や『寿限無』、『目黒のさんま』などの笑えるものの方が好きなのですが。すばらしいものはすばらしい。

今回は文月にちなんで、文の話をしてみましたが、今、七夕の短冊に書くとしたら、「九州北部豪雨の被害で苦しんでいる人たちが、一日も早く、笑顔を取り戻せますように」ですね。
posted by ゆか at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日常コラム | 更新情報をチェックする
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