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2017年07月14日

平成29年の武祭(前編)背後の声

公益財団法人日本武道館から「日本古武道演武大会」の招待状が来ました。

今年は泉州の武人が演武されるので、飛行機で東京へ。
天候もよく、時間通りに到着しました。

毎年、演武大会に来るたびに、機械類が壊れているので、カメラや携帯や充電器の動きをチェックしました。だんだん東京に慣れてきているのか、今年は余裕です。

通路を歩いていると「アンケートにご協力お願いします」と後ろから声がしました。
振り向くと女子高生がタブレットを持って、にこにこしながら立っていました。

タブレットに質問項目が載っているのですが、最初は「今稽古している武道、または以前稽古していた武道」。
つらいなあ。私はためらいがちに「合気道」を選びましたが、記入項目欄にない古流武術の方、武道経験なしで「時代劇の北辰一刀流の現物が見たい」人にとっては、ちょっとしんどい質問です。

私だったら、この質問を5問目にします。
1問目「どちらから来られましたか?」で周知エリアを知り、2問目で「テレビ、新聞、雑誌、インターネットで見たことのある武道を教えてください」。
3問目で「好きな武道(稽古していないものでも可)」
4問目が「好きな武道家・武術家をあげてください(昔の人・架空の人でも可)」

東京オリンピックも間近に控え、海外旅行客もたくさん来ているので、簡単な英語がアンケートについていた方がいいかもしれません。

アンケートが終わったと思ったら、また別の女子高生がアンケートに来る。
どうやら「答えてくれる人」がすくないらしい。入れ代わり立ち代わりアンケートにくるので、大変でした。

アンケートの嵐が収束して、撮影場所を決めました。
1階席は中年男女で埋め尽くされ、傾斜になった撮影向きの場所は、すでに外国人観光客に占拠されています。

私は観光客のすぐ横に陣取り、撮影準備を進めました。
ところが、今回私の真後ろに座った中年女性2人は、演武のたびに騒がしい。。

「小笠原流弓馬術」に「なかなか的にあたらないわねえ」と遠慮なく言い、木刀の間合いの駆け引きが玄人好みの「北辰一刀流剣術」には、「あのグローブは何かしら」と首をかしげる。
「それは鬼籠手です!これだから素人は!」と怒ってはいけません。
私も初めて古武道を見た時には、同じようなことを思いましたから。

泉州の武人が演武する「関口新心流柔術」は安定した投げ技と、対照的に飛び上がって刀を抜く荒々しい動きが魅力。
「示現流兵法剣術」は「キィェー!」という独特の気合いとともに、猛烈な気迫で立木を木刀で打ち続ける「立ち木打ち」は大変な迫力。
こうなると、後ろの女性も「すごい!」しか言いません。

長刀で足を払いにきたのを、垂直に飛び上がって避ける「肥後古流長刀」。
女性の活躍が目立つ「伯耆流居合術」。
長い杖と短い棒を両手に持って、巧みに間合いをとる「澁川一流柔術」。
刀を立てる独特の構えから仕掛ける技、「静」から「動」へのあざやかな切り返しが見事な「當田流剣術」。

後ろの二人は黙って演武を見ていましたが、「起倒流柔術」で、またうるさくなりました。
「これ面白いわね」「柔道?」……それははずれていません。この流派は柔道の先祖だから。

いつものように取りの赤白帯の男性が受けの道着袴姿の男性に投げ技をかけ、男性が床に倒れ……そのまま起きてこない。
受けを取り損ねて頭に直撃受けた事故か?

ざわめきが広がる中、男性は起きてこない。やっぱり事故らしい。
すぐさま担架が用意され、演武者は運ばれて行き、残った演武者は何事もなかったかのように、深々と礼をしました。
ざわめきは静かな拍手に変わり、会場は安堵の空気につつまれました。
(受けを取った先生は軽い脳震盪で、無事に家に帰ったそうです。)

演武中に負傷者が出た……その重苦しい空気を「関口流抜刀術」が気迫のこもった演武で見事に払拭してくれました。
場内は冷静さを取り戻し、演武が続きます。

サイやトンファーを使いこなす「琉球古武術」では再び後ろの二人はうるさい。
「ジャッキーチェン」「かっこいいわね」と感動してくれるのはいいけれども、「カンフーと琉球古武術は違うっ!」と怒鳴りつけてやりたいほど、いらいらする。

羽織袴たすき掛け姿で、一糸乱れぬ動きを見せる「心形刀流剣術」には圧倒されていたようですが、

「本體楊心流柔術」では若者の使う剛直な投げ技に「やっぱり本気でやってもらわないと」って、恐ろしいことを言う。
本気でやってるんですよ。

比較的遠い間合いで打ち合う「竹生島流棒術」には、素直に「すごい」と言ってましたが。
たすき掛け振袖姿の若い女性が走り寄って打ち合う。飛び上がって、相手を斬る。勇ましく長刀を振り回す「楊心流薙刀術」では、「あの振袖、いくらぐらいするんだろう」と演武とは全然関係ない話ばかりしているし。非常に困った客です。

宮本武蔵が作ったとも言われる「兵法二天一流剣術」。
長さの違う木刀で敵の力を分散しながら制するのは難しいです。

この頃は、1階席だけでなく2階席も観客がいました。

「大東流合気柔術」は合気道の源流。
「正面に礼」「先生に礼」……合気道をやっていたころが懐かしくなりました。
膝行を使って、かなりの速度で移動し、女性が相手をかためて手を放しても、相手は女性の「気」で固められていて動くことができません。
これが「合気」です。

甲冑をつけたまま飛び上がって藁斬りをする「初實剣理方一流甲冑抜刀術」。
もう女性たちは何も言わず、見事な技に見入っていました。

ここで前半は終わり、後半へ続きます。

次回へ続く……
タグ:剣術 柔術 居合
posted by ゆか at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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