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2007年06月19日

三十一の杖(後編) 組杖?組太刀?

さて、いよいよ斎藤師範の杖、三十一型。ビデオでの見取り稽古です。

夫も「俺も、どんなんか見てみたい」と言うので、夫婦で見ることになりました。

とりあえず、再生してみると……なにしろ、画像がひどい。
ダビングにダビングを重ねているらしく、人間の目鼻が完全にずれている。

私の前にビデオを借りていた茶髪の茶帯の若者(『杖と茶帯』(後編)に登場)から、「画像は荒いですよ」とは聞いていましたが、これは「荒い」どころじゃない。

こんな不鮮明な画像で、はたして見取り稽古できるのか……

画面に登場した斎藤師範。目鼻がずれているので、お顔は、はっきりとはわかりません。
舞台のようなところに畳を敷き、そこに弟子たちが木剣や杖を持って控えています。

曖昧な画像から推測すると、これは合気ニュース社サイトで売られている、斎藤師範の合気剣や合気杖のソフトではなく、演武会で、斎藤師範が剣と杖の講習を行なったものの録画のようです。
たぶん、希少な映像だから、見た人みんなが、ダビングにダビングを重ねたのでしょう。

斎藤師範は、よく通る声で言いました。

「まず、開祖が残された剣です。「気結びの太刀」という5つの型があります」

剣?
気結びの太刀? 

斎藤師範と弟子が木剣を持ち、それを打ち合わせながら、一つ一つ太刀の動きを解説。
斎藤師範の説明の後、必ず英語のアナウンスが入ります。

斎藤師範の剣は、振りあげる迫力もすごいけれど、打ち込む時の、示現流(一撃で敵を倒す薩摩の剣術)を思わせる一点の迷いもない動きと重量感。
完全に弟子の剣を圧倒しています。

「これは組太刀や。時代劇で出てくるやろ。合気会は型が5つか。覚えとかなあかんで」
「どうしよう。組太刀なんか、私、道場でやったことない。」

私は不安でした。
非常にまれですが、杖の稽古は道場でもあります。
でも、木剣は振ったことがありません。

「見たことない型にしても、5つだけやし。説明の声も聞き取れるし。組太刀やから、なんとかなるやろ。これが一人稽古の型やったら、たぶん、お前には無理や」

確かに、杖を稽古していても思うのですが、自分一人で相手をイメージしながら稽古すると、どうしても、型が曖昧になってしまいます。
それよりは、杖合わせ(二人が杖を持ち、同時に相手めがけて杖を打ち込む稽古)の方が、実際の相手の動きがはっきりわかるので、感覚がつかみやすい。

そして、肝心の杖。
まず、斎藤師範が三十一型全部を一通り演武。
剣と違って、軽やかな動き。
しかし微塵の迷いもない。

「ふうん。三十一を一続きでやるんか」
「大東流は、杖の型はないの?」
「あるけど、これと同じやないな。それに、いくつかに分かれとる。俺らは、杖を棒術に近い使い方もしてたからな」

なるほど。
大東流合気柔術と合気道は、そういうところも違うのですね。

続いて、31の動きを3つずつに区切り、弟子の打ち込んでくる杖を、型の通りにさばきながらの解説。
実際に相手の杖を払い、逆に打ち込む……それぞれの型の動きの意味を明確に理解できるので、助かります。

斎藤師範は、途中で杖を置いて、四方投げという技で弟子を投げましたが、剣や杖を持っている時の状態と、素手で相手を投げる姿勢とが、まったく変わらないのです。
やはり、合気道は、元々武器を持った状態の動きから発展した武道なので、きちんと武器が使えることは重要だと痛感しました。

時折軽口で聴衆をわかせながらも、わかりやすい解説と、キレのいい動きですが、温かみのある演武をされる斉藤師範。
たとえるなら「ゆるぎなき巌(いわお)」。

「開祖は『合気道とは許す武道である』とおっしゃいました」との言葉が印象的でした。

剣と杖の演武を見終わって、夫は言いました。

「杖の型、特に手の返しが大事やな。よく見とけよ」
「でも、画像が悪すぎて、手の部分、指とか見えへんやんか」

「そやけど、剣や杖の切っ先の位置がはっきり見えとるから、そこから逆に、推測するんや。このビデオ、何分かかってる?」
「組太刀組杖合わせて13分」
「そんなけ短かったら、繰り返し見ながら、実際に杖振ってみ。あと、実際に組杖と組太刀しとくことや。道場で、組太刀や組杖できる人間、いてるか?」

「組太刀なんてやったことないし。杖合わせは2回ぐらいしかやったことない……でも、私の知る限り、私の前に、このビデオ見た茶帯の△△君。ビデオの持ち主で、初段の○○君(『抜刀術』(後編)などで活躍)と、○○君と二人で、三十一型覚えた茶帯の幻之介さん(『帰還』(前編)にコメントあり)。この三人は、間違いなくできると思う」

「そうか。また、その人らに頼んで、稽古つけてもらえ。これは、一人稽古やったら、マスターしにくいで」

確かに、一人で、相手をイメージしながら杖を振るのと、実際に相手がいて、杖を合わせるのとでは、かなり上達のスピードが違ってきそうです。
とりあえず、映像で練習してから、自信がついたら、この三人に、組太刀と三十一型の稽古をお願いしてみるつもりです。

どうやら、私も夫同様、見取り稽古より、実際の稽古の方が向いているようですね。
ラベル:合気道 武道
posted by ゆか at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 武道系コラム | 更新情報をチェックする
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