自転車で武道館まで出かけると……意外に時間がかかりました。
「こんなに遠い距離を稽古に通ってたのか」と感心する一方、「こんなことで稽古ができるのか」と不安になりました。
この日は無料体験稽古もやっていましたが、今回は偵察。
今はどんな稽古をしているのか、有段者の誰が残っているのか様子がわからないし、まだ体も万全じゃない。
ドアの隙間からでも様子を見るかな。
柔道場をのぞこうとしたら……
「どうしたんですか?」
不意に声をかけられました。
声の主は後輩の袴姿の若者。
「どうして道着姿じゃないんですか?」
「今日は申し込みで」
「見学ですか。ずいぶん稽古に来なかったじゃないですか」
なぜか叱られている私。
「介護していた義母が亡くなって、いろいろあったから……」
「そうですか。ゆっくり見学していってくださいよ」
そう言って彼は準備体操している人たちの輪の中に入っていきました。
彼も今は指導員か。
確かにずいぶん長い間稽古に来ていなかったな。
稽古は基本の立ち方や座り方、正面打ち一教や四方投げなどの基本技。
今日はジャージ姿の初心者が多く、袴姿の有段者は私の知らない人が何人かいるだけで。
目立つのが白帯の高齢者。
健康のために合気道をはじめた人たちかもしれません。
それにしても、こんなに激しい動きをしていたのか。
以前の私は。
ちゃんと復帰できるのか。
見学席から稽古をながめていて不安になります。
「久しぶりじゃないですか」
また声をかけられました。私と同期の有段者の男性です。
「また一緒に稽古しましょうね」
にこにこしながら、彼も稽古の輪の中に入っていきました。
しかし、以前のように動けるわけでもないし、あまり期待されても困る。
どうしたもんかなあ。
ちょっと落ち込みながら、帰りに激安スーパーに寄って価格調査。
安いものは分量が多すぎる。
我が家は夫婦二人だから「醤油2リットルを賞味期限内に使いきれるか?」とか「これだけ大量の肉が冷凍庫に入るか?」とか、それが問題になりました。
普通のサイズのものも置いてあるけれども、すごく安いかと言えば、近所の店と変わらない。
うーむ。
スポーツ教室の合気道の稽古が10回で3000円。
リストを作って、稽古の帰りに本当に安いものだけを買うとすると……3回稽古に出ると採算が取れるわけか。
リハビリとしては、まあまあなペースかな。
「稽古と買い物と、どっちが目的やねん」とのお叱りもあるでしょうが、介護で道場を離れる前と違って、今はファイナンシャルプランナーなので、どうしても、お金のことが気になってしまうのです。
それに、ある場所へ通う習慣をつけるには動機が必要です。
「健康のため、無理のない稽古で体をほぐす」という難しいテーマに「いつもと違う食材を手に入れて食卓を賑わわせる」を加えれば、あまり気負いなく稽古が続けられるでしょう。
まだ右膝が治りきっていないし無理はできません。
体調のいい時に稽古に行くことにして、家でストレッチを続けています。
まあ、無理のない範囲で稽古を続けていきますか。
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