『ゆたかな人生が始まる シンプルリスト』

自分は本当に自分のことを知っている……


そうだろうか。
私は自分がよくわからない。
よくわからないので、いつも知りたいと思っている。

この本の著者はフランス人。
瞑想を通して人間の内面を探求する禅に魅せられて「心を導く道具」として質問リストを作り、解説を一緒に載せた本。
かなり昔に買ったものだが、人生の棚卸しが必要になったので、本棚から引っ張り出してきて読み返している。

この本は、各章の終わりにテーマに沿った質問が並んでいるので、ちょっとした時間があれば、偶然開いたページにあった質問の答えをリストにして、レポート用紙に書き込んでいる。

例えば『小さな幸せが見つかるリスト』の質問は

『季節ごとの幸せ』
『一日のなかで感じる幸せ』
『訪れる国ごとに味わう幸せ』
『大切な人と一緒に味わう幸せ』
『ひとりで味わう幸せ』
『お気に入りの場所から生まれる幸せ』

一つずつ質問に答えてリストに書き出していくと、自分がどんなことを幸せと感じているか、どれほどたくさんの幸せに囲まれているか、じんわりとわかってくる。

自分の考えがまとまって、前に進める勇気を与えてくれる大切な本だが、同じ質問リストなのに、その時々で違う答えを書いているのが、自分でも興味深い。

『自分の人生最後の日のことを想像してみてください。そして、それまでに成し遂げたこと、誇らしく思うこと、自分が幸せに思うことのリストを作ってください』

時々開いてしまうページにある質問だ。
この「自分の人生最後の日」が今一つイメージできなくて、いつも答えられない。
次に本を開いて偶然このページが出た時には、きちんと答えようと毎回思う。

本当に大切なものは、それほど多くはない。
体と心と部屋の中がすっきりする本だ。

『ゆたかな人生が始まる　シンプルリスト』　ドミニック・ローホー著　講談社+α文庫