近い将来、人間が行っている大半の職業を奪うものとして恐れられているAI。
著者は人工知能、ゲーム情報学が専門の工学博士。「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」で、星新一の膨大な数の作品を解析し、AIに小説を書かせた人だ。
私も星新一のショートショートが好きで、すべての著書を読んだ人間だから、AIが星新一賞を狙い、しかも一次選考を突破したのは、非常に気になる話だった。
すでに小説のプロットを書くAIは登場しているが、星新一賞を目指したAIは、同じあらすじを違う表現で10万通りの物語を作成できる。恐ろしい話だ。
実は、私はAIを使ってInstagramに写真を投稿している。投稿を拡散させるハッシュタグをつけるスマートフォンのAIアプリ「TAGGER」だ。画像に関連した人気のある言葉のタグを選んでくれる。例えば、「晴れた日に撮影したピンク色のツツジが咲く日本庭園の池のほとり」の写真をAIに読み込ませると、「池」と「ツツジ」はわからないようだが「ピンク」「花」「青空」「緑」「木」などは認識できるらしい。画像に忠実に、積み上げたデータからAIが適切に選んだ人気タグと、最初に印象に残った言葉から次々に連想を広げていく私のタグ。選んだタグの言葉はまったく重ならず、次第にフォロワーが増えてきている。
この本の中には、将棋AIを駆使する藤井壮太棋士と、AIとの共存を模索する羽生善治棋士が登場する。すでに将棋の世界ではAIを「脅威」と言っていられない状況らしい。
『人間には、流れに沿って手を考えていく癖があります。AIのように特定のある局面のある瞬間における最良の手をずばりと指すことができない』……そう羽生名人は喝破している。「線で考える人間・点で考えるAI」。ここに共存の鍵がありそうだ。
『AIに心は宿るのか』 松原仁 著 集英社インターナショナル
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