この雑誌『日経トップリーダー』に連載された『破綻の真相』をまとめたもの。
1992年、バブル崩壊の頃から四半世紀も連載されている『破綻の真相』の中から、最近「倒産」した23社をピックアップ、分析して「失敗の法則」をつかもうとしている。
『日経トップリーダー』は定期購読制の雑誌で、書店の店頭で見かけることはない。
しかし、東京商工リサーチと帝国データバンクの協力を得て、各社の破綻寸前の業績推移(経常利益・営業損益など)を、緻密な数字でグラフ化して載せているところをみると、かなり充実した内容の雑誌なのではないか。
この本では、23社それぞれの破綻までの動きをわかりやすく描いた後、その企業の破綻直前の業績グラフを載せている。
淡々とした筆致で、冷静に破綻の原因を分析している姿勢が、読んでいる方に不安を感じさせない。
植物工場の「みらい」、「こびとづかん」がヒットした「長崎出版」、クイズ番組の景品提供で人気だった「平和堂貿易」、愛知万博で名をはせたキッズコーポレーション……有名な企業があっけなく倒産してしまうのには驚く。
『成功には定石がありませんが失敗には定石があります』
私が経理をしていた建設会社の倒産は、バブル崩壊直後の1993年。
建設会社は「着手金」「中間金」「完成時」の3回で売上金を受け取ることが多いが、工事期間中に仕事をする業者には月々の支払いが必要なので、つなぎの回転資金を銀行から借りる。
いくつかの工事が並行して行われているので、資金繰りが狂えば経営は逼迫する。
私がいた会社は、たった1件の取引先の入金が遅れたために資金繰りがショートして倒産しているが、これも「倒産の定石」のひとつだ。
『成功はアートだが失敗はサイエンス』。
成功の要件に定石はないが、失敗にはある種のパターンがある。
大成功することより大失敗しないことが大切なことを、この本は教えてくれる。
『なぜ倒産』 日経トップリーダー 編 日経BP社
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