主治医の言葉は予想外でした。
「呼吸機能が極端に落ちてますね。年齢的に考えて、喘息の悪化も考えられるので、念のために次回CTスキャンをやりましょう」
喘息が長期間続くと、気道の細胞が厚くなって、気道そのものが狭くなり、空気が通りにくくなるのです。
確かに、最近は腹式呼吸をしていないことが増えました。
……年なんかなあ。
病院からの帰り道、電車の中で、黙ってドアの外を眺めていました。
線路沿いの木々が、赤や黄色に美しく染まっているのを見ても、明るい気持ちになれません。
喘息は、長年かかっているうちに、気道の細胞が線維化して弾力を失うのです。
これから先は呼吸困難に気をつけなければ。
駅のホームを歩きながら、ため息をつきました。
メンタルが弱っていた頃よりは、体調が回復してきてるけれども、合気道復帰は自信がない。
……もう、合気道の稽古は無理なのかな。
メンタルが悪かった時、精神的に辛いも肉体的に辛いことも多かったです。
・夜眠れない
・赤いものが怖い
・蛍光灯の光がまぶしくてつらい
・夕方になるとぼんやりする
・右手がこわばる
・深呼吸できない
・意識がバラバラする
・本を読もうとすると吐き気がする
・パソコンに向かうとめまいがする
・食欲がない
・テレビや新聞などに興味がもてない
・体が思うように動かず、動作が遅い自分にむかつく
・ベッドに座ろうとして、ベッドの前に立ったまま30分が過ぎる
・人の話している声が、急に大ボリュームになって、気になってしょうがない。
・嫌なことが頭をよぎると頭痛がする
・膝が曲がらなくなった
・突然不安にかられて道の真ん中に座り込んで動けなくなった
・動悸がひどく、急に汗をかく
今では、本を読んでもパソコンに向かっても大丈夫だし、自分で料理するし、正座もできるようになりました。
FPの勉強と執筆の仕事ができるようになったので、少しずつ昔のペースに戻っているところ。
しかし、ようやく回復してきた……と思った矢先に、呼吸力低下。
合気道の稽古がストップしていたことが原因かもしれませんが、「年だからしょうがないし」で放っておくと、数年後、喘息で苦しむことになります。
……やっぱり合気道かな。
合気道は「自分のペースで稽古し、しんどくなったら休んで、見学してもいい」というルールがありますが、「準備体操でしんどくなったので、後の稽古は見学していた」となると、「何のための稽古やねん」とおっしゃる方がおられても仕方がありません。
そのあたり、「リハビリ武道」として、周囲を説得しつつ、みんなで楽しい稽古をするのは、普通の稽古より目標の設定が高いですね。
私は元々喘息に効く丹田呼吸法習得のため、合気道をはじめたのですが、しばらく稽古しないうちに丹田呼吸法を忘れてしまっているというのも悔しい。
体調に合わせて、少しずつでいいから、合気道の稽古はできないものでしょうか。
年をとった、持病がある、そういった人でも楽しめる稽古法があればいいんですが。
ただ、稽古再開の壁になっているものが2つあります。
……次回へ続く。
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