このドラマの主人公は「マラソンの父」と呼ばれる金栗四三で、嘉納治五郎ではありません。
空手4段剣道3段少林寺拳法3段大東流合気柔術2段柔道初段の夫と、合気道初段の妻の武道家夫婦は、この番組を見ていると、どうしても「日本柔道の父」こと嘉納治五郎の動きばかりに目がいってしまいがちですが、金栗四三は3度もオリンピックに出場し、日本初の駅伝「東海道五十三次駅伝」や正月の風物詩の「箱根駅伝」を考案した偉い人です。
『玉名市』公式サイトの『マラソンの父 金栗四三さん』
を見ると、金栗四三が、どれほど玉名の人々に愛されているかがわかります。
マラソン普及のため、下関〜東京間・樺太〜東京間・九州一周を踏破し、全国走破。
生涯に走った距離は25万キロ・地球6周と4分の1。
……いやあ。なんでこんなに走れるんだろう。
100メートル走のトラックの途中、喘息発作でリタイアしていた私には、ちょっと想像がつきません。
走り切った時の爽快感というのは、実感はできないけど、気持ちのいいもんなんでしょうね。
番組では「スッスッ、ハッハッ」と2回ずつ息を吸ったり吐いたりしながら走っていく姿が印象的でしたが、これは「金栗走法」と呼ばれています。
金栗走法のポイントは、体の前に出さずに腕の振り、2回吸って2回吐く。この2呼吸ずつ吸ったり吐いたりする呼吸は、私が喘息の発作を次第に治めていく時の呼吸法と同じです。
金栗四三は、明治45年(1912)のストックホルムオリンピックでは、競技中に猛暑のために棄権し、森の中で倒れました。そのためスウェーデン人の間で「マラソンの途中で消えた日本人」と語り伝えられることになります。
ストックホルム大会から50年目の夏、昭和37年(1962)にスウェーデンの新聞記者が「消えた日本人」の謎を解明するため、玉名の自宅で金栗を取材。
スウェーデンの新聞やテレビで大きく紹介されます。
昭和42年(1967)、金栗四三が75歳の時に、スウェーデンオリンピック委員会から、オリンピック55周年記念祝賀行事への招待が届きました。
四三は、大観衆の中で10メートルほど走り、用意されていたゴールテープを笑顔で切りました。
その瞬間、「日本の金栗選手、ただ今ゴールイン。記録は通算54年と8月6日5時間32分20秒3。これをもちまして第5回ストックホルムオリンピック大会の全日程を終了といたします」との粋な場内アナウンスが流されたそうです。
生真面目で一生懸命だった金栗四三は、スウェーデン人にも愛されていたんですね。
「体力、気力、努力」の精神で、世界を相手に戦った「マラソンの父」、金栗四三。
武士の出てこない大河ドラマ『いだてん』が、その後、どんな展開になっていくのか、毎週楽しみです。
【関連する記事】
- 武道とリハビリ(後編)筋力
- 武道とリハビリ(前編)変化
- 距離感(後編) 拳の間合い
- 距離感(前編) 剣の間合い
- 令和二年の古武道演武大会(後編) 一人
- 令和二年の古武道演武大会(中編)圧力
- 令和二年の古武道演武大会(前編) 支える皆さん
- 寄る年波(後編) 靴と筋肉
- 寄る年波 (前編) 靴と骨
- 武道と体重 (後編) 勝ち方
- 武道と体重 (前編) 気迫
- 護身の現実(後編)守るべきもの
- 護身の現実(前編) 体力
- 古武道演武(後編)見せると隠す
- 古武道奉納演武(前編) 腕力
- 2019年の日本古武道演武大会(後編) 世代交代
- 2019年の日本古武道演武大会(前編)黒衣
- いだてん(前編) 空白の24年
- 懸念(後編)姿勢
- 懸念(前編)再検査